ベトナムサッカー連盟(VFF)は3月26日、ホームのミーディン国立競技場で行われたFIFAワールドカップ26アジア2次予選グループFの第4節でベトナム代表(FIFAランキング105位)がインドネシア代表(同142位)に0-3で敗れたことを受け、フィリップ・トルシエ監督の解任を決定した。
アウェイでの前節はインドネシアに0-1で敗れ、同予選1勝2敗と3位につけていたベトナム。逆転し2位突破を決めるためには、勝ち点3を是が非でも欲しい試合だったが、攻守にちぐはぐな印象で惨敗。
これでベトナムは直近の公式戦で7連敗となり、対インドネシア戦はアジアカップを含めると3連敗。さらに、ミーディン国立競技場でインドネシア相手に敗れたのが20年ぶりということで、試合後にサポーターの怒りが爆発。スタンドからは「トルシエOUT」の大合唱が起こり、ピッチにはペットボトルなどが投げ込まれた。
かつて日本代表をワールドカップ・ベスト16に導いたトルシエ監督は、2023年2月末にベトナム代表監督に就任。契約期間は3年半とされており、U-23代表監督も兼任する契約だった。就任時の期待値は非常に高いものであったが、同年に行われた東南アジアで最もプライオリティが高い大会のひとつである東南アジア競技大会(SEA Games)で銅メダルに終わり、3大会連続の金メダル獲得を逃した。これにより風向きが怪しくなりA代表では最初こそ連勝でスタートしたものの、その後の親善試合では連戦連敗している。
今年初めのアジアカップでは、優勝候補とされた日本相手に2-4で善戦するなど試合内容こそ評価されたが、グループリーグ3戦全敗という過去最低の成績で敗退した。
W杯アジア2次予選でも第4節のインドネシア戦に敗れたことで自力突破の可能性が消滅。2大会連続の最終予選進出が絶望的な状況だ。多くのベトナムサポーターからトルシエ監督に向けられる声は非常に辛辣で、早期解任を望んで失点するたびに歓声が上がるなどホームであるにもかかわらず四面楚歌の状況だった。
なお、トルシエ監督が率いたベトナムA代表は通算14試合で4勝10敗0分という成績で、その敗戦率は71.4%。これは歴代外国人監督の中で最も悪い数字である。一方、規律とハードワークを持ち込んだ前任者のパク・ハンソ監督の敗戦率はわずか25.4%となっており、歴代で最も負けない代表チームを作り上げたと言える。昨年勇退したパク氏だが、その人気は衰えることを知らずベトナム代表監督への復帰を望む声は多い。