アレクサンダル・チャヴリッチ 写真:Getty Images

 鹿島アントラーズ所属FWアレクサンダル・チャヴリッチは今月、国際親善試合(対オーストリア代表、ノルウェー代表)にむけてのスロバキア代表に招集されていたが、これを辞退。同国代表選手のDFボリス・セクリッチ(MLSシカゴ・ファイアーFC)が、チャヴリッチの代表招集辞退の裏側を語っている。

 かつて年代別セルビア代表でプレーしていたチャヴリッチは、今年1月にスロバキア1部SKスロヴァン・ブラチスラヴァから鹿島へ期限付き移籍。J1開幕節から全4試合でスタメン出場し2ゴール1アシストをマークするなど、新天地でも主力選手として活躍している。

 スロバキアサッカー協会(SFZ)が今月13日に発表した代表メンバーのリストに名を連ねていたチャヴリッチだが、SFZは18日に同選手の代表招集辞退を公式発表。するとスロバキアメディア『sportnet』は、辞退の背景について「チャヴリッチはスロバキアから日本へ向かう際、スロバキア代表入りに興味があると公言していた。SFZは彼の招集にむけて最善を尽くし、彼自身もスロバキアの市民権を取得した。しかし選手本人が代表招集辞退を決断した」とリポート。

 選手本人は17日、スロバキアメディア『RTVS』のインタビューで「鹿島は代表招集を拒否できないことを承知していたし、代表チームの活動に行くことを誰も禁止しないと伝えられていた。ただ僕自身、鹿島に来てから1か月半しか経っていない中で、まだ適応できていない」

 「一時的にチームを離れるタイミングではないと感じた。まずは、クラブで自分自身(の立場)を確立する必要がある。だから今月の代表チームには参加しないという非常に難しい決断を下した」と、辞退という決断を下した理由を語っている。

 そんな中、スロバキアメディア『sportweb』は21日にセクリッチへのインタビュー内容を掲載。これによると、同選手は「チャヴリッチと私は親友だし、定期的に連絡を取っている。先週も話していたから、何が起こるかすでに知っていたよ」と、辞退を事前に把握していたことを告白。

 「彼はメディアに対して何をすべきか、何を言えばいいのか分からなかった。彼自身、SFZの会長と話したけど、多くの関係者が市民権取得にむけて尽力していたことを認識しているし、この状況を非常に残念がっている」

 「問題は、(スロバキア代表招集について)彼が(鹿島の)監督やスポーツディレクターに相談したことだ。もし彼がEURO2024(欧州選手権)に参戦するとなれば、彼らはあまり喜ばないだろう。(鹿島での公式戦を)少なくとも10試合欠場することになるだろうし、(鹿島へ戻って来た時に)時差が彼のパフォーマンスに影響を与えることになるからだ。彼は怪我の問題を抱えており、疲労蓄積によって再発する可能性がある」と語ったという。

 なお、『sportweb』は、セクリッチが語った内容として「チャヴリッチは鹿島と3年契約を結ぶというビジョンを持ち続けたいと考えている。それが極東に滞在することを好んだ理由だ」とリポート。代表戦よりも、鹿島への完全移籍移行を優先するチャヴリッチの姿勢が明るみに出ているようだ。