ヴィッセル神戸の三木谷浩史会長は今月18日深夜、「サポーターへの提案」としてJリーグのブーイング文化に言及。「ブーイングはカッコ悪い」という投稿内容への批判が相次ぐ中、野々村芳和Jリーグチェアマンの過去発言も反響を呼んでいる。
三木谷会長は18日深夜にX(旧ツイッター)を更新。「神戸のサポーターへ提案があります」と切り出すと、「みんなどう思ってるか。知らないけど、Vissel Kobeではブーインやめない。相手も必死、うちも必死。その中で相手に対するリスペクトも、大切だと思う。そんな甘い夢を僕は見ています」「つねにあいてにたいするリスペクトを忘れず、味方を鼓舞する。神戸はそういう事ができる可能性があるクラブだと思っています。国際的に様々なものを受け入れ、日本を代表するクラブになり、日本の新しい象徴となりましょう。ブーイングはカッコ悪い」と綴っていた。
この「ブーイングはカッコ悪い」という言葉は、ファン・サポーターの間で議論の対象に。「かっこ悪いの一言で片付けるのは雑」「サポーターへのリスペクトを欠いている」などと、三木谷会長に対する厳しい声も飛んでいる。
そんな中、X(旧ツイッター)では2012年5月26開催のJ1第13節・FC東京対浦和レッズ(味の素スタジアム)における試合前の中継映像が拡散。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督とランコ・ポポヴィッチ監督が戦前から対抗心を剝き出しにする中で迎えた一戦では、FC東京サポーターが「ユール・ネバー・ウォーク・アローン(You’ll Never Walk Alone)」を歌うと、浦和サポーターはブーイングで対抗している。
この試合で解説を担当した野々村氏は、「サポーターがスタジアムの雰囲気を作ってくれることを、改めて感じますよね。(浦和サポーターのブーイングは)演出だと思いますから、それが良い雰囲気を作ってくれますよね。浦和サポーターはどこへ行っても、相手チームから有難られているんじゃないですかね」とコメント。ブーイングによるスタジアムの空気感に酔いしれていた。
それだけに、当時の中継映像の拡散を受けて「ブーイングや煽りに寛容であるJリーグのスタジアムを守っていきたい」「良い振る舞いしか称賛されない日本社会を危惧する」「今の世論がなあ…」といった声も挙がっている。
なお、FC東京対浦和の実況担当である下田恒幸アナウンサーは昨年、浦和OBの鈴木啓太氏と対談。鈴木氏の公式YouTubeチャンネルで昨年7月に公開された「下田恒幸が語る、実況歴33年で印象に残っている試合ベスト3」で、同試合を1位に挙げていた。
野々村チェアマン、下田アナともに、19日正午時点で三木谷会長のコメントに反応していないが、ブーイングを巡る議論は熱くなる一方だ。