安英学氏 写真:Getty Images

 かつて柏レイソル、アルビレックス新潟などJリーグ複数クラブでプレーしていた北朝鮮代表OBの安英学氏が、13年ぶりとなる日本代表対北朝鮮代表の平壌開催(北中米W杯アジア2次予選)を受けて、両国代表が対戦した過去を振り返っている。

 東京都内の朝鮮学校出身である安英学氏は、新潟、名古屋グランパス、大宮アルディージャ、柏、横浜FCとJリーグ5クラブを渡り歩いたほか、北朝鮮籍のまま韓国1部リーグでプレーした選手として話題に。北朝鮮代表の一員として、2010年の南アフリカW杯グループリーグ全3試合にフル出場した実績を持っている。

 AFP通信によると、在日朝鮮人3世の同氏は横浜市内の朝鮮学校で講演。2005年2月に埼玉スタジアムで行われたドイツW杯予選の日本戦を振り返るとともに、「日本は後半アディショナルタイムにゴールを決めて、我々は負けた。それでも我々は試合後、日本のファン・サポーターに向かって手を振った。結果以上に素晴らしい試合だった。今回もそうなることを願っている」と、平穏な試合開催を求めている。

 また同氏は「正直なところ、私は日本で生まれ育ったので、テレビで見る朝鮮民主主義人民共和国の選手よりも日本の選手の名前と顔の方がよく知っていた。だけど、私は朝鮮民族。朝鮮民主主義人民共和国の代表選手であるということを常に意識して頑張ってきた」と、朝鮮人としてのアイデンティティーを強調。

 「(在日朝鮮人である)子供たちには、朝鮮民族であることをネガティブだと考えて育ってほしくない。朝鮮民族であることを活かして、自分には何でもできるということを実感してほしい」と朝鮮学校の生徒にメッセージを送った。

 この安英学氏のメッセージを受けて、AFP通信は「彼は日本育ちだが、W杯予選では北朝鮮を応援する予定だ。サッカーは日本で長年差別を受けてきた人々に誇りを持てる理由を与えてくれたと、彼は主張している」と綴っている。

 鄭大世氏や李漢宰氏など、過去にもJリーガーを擁していた北朝鮮代表。今回の日本戦に向けたメンバーにも、FC岐阜所属MF文仁柱が選出されている。