交通渋滞緩和、分散周遊を促進する実証実験結果の公表、プロジェクト命名へ
これまでの実証実験について
2021年12月から沖縄県において、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金、矢崎総業株式会社、株式会社トヨタレンタリース沖縄とレンタカー利用者の安全運転支援のための実証実験(ステップ1)、2022年からはトヨタ自動車株式会社、琉球大学、東京大学大学院工学系研究科も加わり、レンタカー車中空間での車載タブレット用アプリによる観光レコメンドを行うことで事故につながる交通渋滞の緩和と、分散周遊による地域の活性化を目指す実証実験(ステップ2)を実施してきました。また沖縄県警察本部とも連携協定を締結し、レンタカーの事故削減、事故データ・車両データ・車載アプリのデータ等から多角的な分析を実施、地域の課題解決について議論をしてきました。
(2021年12月リリース)
(2022年10月リリース)
実証実験(ステップ2)と成果
1. 観光レコメンド
美ら海水族館に行く予定のレンタカー観光客に対して、車載ナビとは異なるルートにあるおすすめの立ち寄りスポットを案内(貸出時及び停車時)することで、新たな施設への訪問に結び付き、隠れた観光目的地の訴求及び渋滞緩和に寄与しました。
・該当するレンタカー564台のうち行動変容につながった割合が18%
・おすすめした3つの施設については訪問数が2.3倍増加
琉球大学 神谷准教授・東京大学大学院 福田教授によると、「これまでも様々な行動変容を促す取り組みをしているが、一般的には数パーセントの変容率。一概には言えないが、車中でのシンプルな提案(観光レコメンド)による18%の変容率はとても高い行動変化と言えるのではないか」との評価をいただいており、また実際にもおすすめの立ち寄りスポットへの訪問数は増加し、地域経済の活性化に寄与する形となりました。
<レンタカー車中空間での観光レコメンドイメージ(車載タブレット用アプリ「スマイルくん」画面)>
2. 交通事故削減、専用タブレットによる運転行動の変化
専用タブレット(矢崎総業製)を搭載した車両は、実証期間を通して事故の削減効果が認められ、外国人で55%、日本人で38%事故件数が減少しました。また、車両データの解析においても、急加速、急ブレーキともに改善がみられ事故件数の減少を裏付ける結果となりました。
実証実験(ステップ1・ステップ2)の概要
1. 期間:ステップ1:2021年12月9日~2022年5月31日
ステップ2:2022年10月1日~2023年12月31日(当初より期間延長し実施)
2. 対象エリア: 沖縄本島(交通事故・観光レコメンド)、宮古島(交通事故)
3. 対象者: トヨタレンタリース沖縄にてレンタカーを利用され、本実証実験に同意いただいたお客様
4. 主な活動:
▽ステップ1 (実施済み)
1. インタラクティブ動画を通じ、沖縄の交通環境や人気観光地に向けた事故多発地点などの情報を提供、安全運転意識の向上を働きかけ。
2. 矢崎総業が開発した車載タブレット用アプリにより、お客様の走行中の速度、加速、急ブレーキなどの情報をもとに運転診断を行い、結果をフィードバック。また事故多発地点では事前にアラート。
▽ステップ2 (実施済み)
1. トヨタ自動車のコネクティッドサービス「T-Connect」を活用したデータ分析を通じ、レンタカーの運転特性と事故が起きやすい箇所を把握。得られた情報を車載タブレット用アプリと連携させ、注意喚起する箇所を追加。
2. 訪日外国人観光客向けに多言語化を推進。
3. 車載タブレット用アプリにより新たな観光情報を提供し、お客様の行動変容を促進して分散周遊へつなげる。
4. 琉球大学・東京大学や沖縄県警とも連携、事故削減・観光振興策の検討など産官学で地域課題解決に取り組む。
今後の展望
2024年3月より、新たに東京海上日動火災保険株式会社も本連携協定に加わり、期間を2025年3月まで延長し、損害保険会社の持つデータも加えて産官学連携による分析を深めていきます。今後は本活動を、沖縄のことばで、一緒に(=「ゆい」)、取り組む・助け合う(=「まわる、まーる」)の理念を掲げて、「沖縄ゆいまーるプロジェクト」と命名し、交通事故の削減・渋滞の解消という社会課題の解決と楽しい観光体験の提供という付加価値を兼ね備えた“沖縄モデル”の確立に一層注力してまいります。
連携協定締結パートナー
今回の取り組みに関連するSDGsの目標
これまでの「沖縄ゆいまーるプロジェクト」の取り組み(動画)
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