日本の政党を語るとき、自民党中心の戦後が長すぎました。とはいえ、一時的に自民党が下野した際、政権担当政党のちぐはぐさと国民の不満も記憶にある人が多いでしょう。今の野党には政権をつかさどる能力も人材も経験もバランス感覚もありません。これは断言します。とすれば同じ中道からやや右と中道右派の相互が刺激を与えあって双方が切磋琢磨し競争した方が良いのではないでしょうか?

では岸田氏の立ち位置である中道ど真ん中ないしやや右に対して旧安倍派の中道右派ではどちらが時代のニーズに適っているかといえば外交を別にすれば中道のど真ん中が日本には心地よいとみています。これは「人の上に人を造らず」のポリシーが日本人の根本であり、日本の平等主義はイスラム教にも匹敵するほどのバランス感覚を持っていると感じています。

日本で憲法9条の問題が異様に盛り上がるのは戦後の平和ボケという話ではなく、日本人の平和主義は信念なのです。理由は日本は戦争のドンパチよりも突然襲ってくる自然災害との戦いに振り回されており、常にそのリスクと背中合わせなのです。災害と安定を繰り返してきている歴史観がすべての日本人に宿っているのです。よって更なるドンパチは勘弁願いたい、というのが多くの日本人の気持ちであると私は推測しています。

下村博文氏がぶっちゃけるか、これはわかりません。ただ、森元首相が仮に政倫審に出てきても何もしゃべらないでしょう。私は今回の政倫審は茶番に近いと思っています。そして真実を知っている人達は墓場まで持っていくつもりでしょう。一番、興味深いのは茂木幹事長の責任です。茂木氏の幹事長としての振る舞いは最低でした。茂木氏は自意識が非常に高く、プライドの塊なのでアンチ岸田の姿勢を明白にしていくと思います。それでも岸田氏は全然困らないはずです。それぐらい自民党には人材が豊富だということです。そして「へぇ、こんな方もいらっしゃったのか?」という人材を発掘するチャンスでもあると思っています。

政治評論家は私のような切り口ではモノを論じることは100%ありません。ですが、政治評論家は当たらない、これもまた事実なのです。ましてや今、自民党がおかれている状況は誰もが想像したことのない未経験ゾーンに入りつつあります。

ところで最後に一言、17日の日経に上川陽子氏への長いインタビュー記事が掲載されています。これは良い内容です。上川氏のバランス感覚とプロ意識が見て取れます。将来の首相の話は大げさだと思いますが、外相としてその手腕に期待できると思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月18日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?