老後資金2,000万円問題に新型コロナウィルスが加わり、将来への不安が高まっています。資産運用の重要性がクローズアップされ、証券会社の口座開設数も増加傾向にあります。しかし、有効な資産運用を行うには、基本的な金融知識や判断力が必要です。そこで、資産運用するなら身に着けたい、「金融リテラシー」について考えます。
金融リテラシーとは何か
金融リテラシーとは、金融に関する知識や情報を正しく理解・判断できる能力のことをいいます。お金を上手に管理し、使うためにはお金に関する十分な知識が必要です。
とくに2020年は、新型コロナウィルスの影響により、例年よりもお金に関する話題が多い年でもありました。職を失ったり、収入が減ったりした人も多く、資産運用の重要性を感じて投資を始めた人が増えたのも特徴です。たとえば、楽天証券の2020年1~6月の新規口座開設数は65万745件と過去最高を記録しています。
資産運用で大事なのはライフプランに合わせること
資産運用を成功させるために欠かせないのが、ライフプランに合わせて資金計画を立てることです。ライフプランは年代によって、「入学」「結婚」「出産」「マイホーム」「老後」などいくつかのステップに合わせて考える必要があります。
3年程度の中期で考えるのが「入学」「結婚」「出産」などに備えるお金です。これらの資金は減らすことができないので、比較的安定した運用が可能な債券や投資信託などを中心に運用することが望ましいでしょう。
一方で、「マイホーム資金」や「老後資金」は長く運用することが可能なので、株式などのリスク商品も組み入れることが可能です。
以上のようなライフプランを考えずに、目先の利益を狙って短期で結果を出そうとすると、冷静な投資判断ができなくなります。資産運用は中・長期投資が基本であることを心得る必要があります。
安定した資産運用は家計の管理から
安定した資産運用を行うには、家計をしっかり管理しなければなりません。家計の基本は給与などの収入から月々の支出を差し引いて多少の貯蓄もできる、バランスのよい運用です。それには、家計簿をつけて家計を正確に管理することが求められます。今は家計簿ソフトもあり、パソコンで簡単に管理できるようになったので、まだつけていない場合は導入を検討するとよいでしょう。
保険やローンの内容も家計に大きな影響を与えます。保険にもいろいろな種類があるので、自分にとって適格な保険を選ぶ必要があります。住宅は、無理のないローン返済計画を立てて購入することが大事です。カードローンは使いすぎないことはもちろんですが、月々の返済額が少ないからといってリボ払いを多用するのは危険です。返済期間が延びてしまうので、結果的に利息の支払いが増すことになります。
収入と支出のバランスがとれて、多少余裕があれば資産運用に回すことも考えてよいでしょう。ぎりぎりのお金で投資すると、必要になったときに無理に売却し、損失を出すことにつながりかねません。投資は家計をしっかり管理して、余裕資金で行うことが成功する秘訣です。
資産運用に必要な金融知識は?
では、資産運用に必要な金融知識にはどのようなものがあるのでしょうか。資産運用に関わる基本的な知識を得るには以下のようなことに取り組む必要があります。
金融と経済についての基礎知識を学ぶ
単利と複利、インフレとデフレ、円高と円安、リスクとリターン、銀行と証券会社など、それぞれの違いは資産運用をする上で重要な知識になります。また、テレビのニュース番組で報道される、GDP(国内総生産)、ドル/円相場、日経平均株価、ニューヨークダウ工業株30種平均など基本的な経済指標も投資には必須の知識です。
契約書を確認する習慣をつける
生活のいろいろな場面で契約書に記入・捺印することがあるでしょう。その際は、契約書をよく読む、相手の名前、契約書の日付、金額、支払い方法などの確認を意識することでトラブルを少なくできます。訪問販売で購入した商品を原則8日以内ならキャンセルできる、クーリング・オフ制度も理解しておく必要があります。
資産運用商品の種類を知る
資産運用においてはライフプランに合わせた、適格な商品を選ぶことが大事です。安定運用を目指すなら、国債、地方債、社債など。積極運用を目指すなら、株式、投資信託、REIT(不動産投資信託)、金(ゴールド)など、運用目的や資金の性格によって選択肢があります。日ごろから証券会社のホームページなどで商品内容を確認しておくとよいでしょう。
金利や手数料についての意識を高める
金融商品や各種ローンの金利・手数料は取引する金融機関や商品によってマチマチです。少しの金利の違いでも長期間運用すると大きな金額の違いになります。小さな差と思わずに、出来る限り金利コストの低い金融機関や商品を選ぶことがベストです。手数料もなるべく無料になる方法を選択するようにしましょう。
非課税制度を利用する
NISA(少額投資非課税制度)、iDeCo(個人型確定拠出年金)など、運用益や配当金・分配金が非課税になる制度があるので、必要に応じて利用すると有利な資産運用ができます。
金融リテラシーを身に着けるには
次に、金融リテラシーを身に着ける方法を考えてみましょう。金融リテラシーを身に着ける年齢は早いに越したことはありません。子どもなら、お年玉を計画的に使う、小遣い帳をつけるなどの習慣をつければ、無駄遣いをしなくなることが期待できます。
高校生になるとアルバイトをできるようになるので、給料をもらう経験をします。小遣いにするだけでなく、貯金をする習慣を身に着けるべき年代でもあります。大学生になると、アルバイトで生計を立てると同時に、社会人として独立するための準備も必要です。クレジットカードを作ることができるので、使いすぎないようにするなどのリスクを考えながら生活することが大事です。子どもがいる家庭では、日ごろからお金について親子で語り合うと金融リテラシーを養うのに有効かもしれません。
社会人になると、家庭を持つ準備も含め、給与から天引き貯蓄するなど資産形成を始めることも必要になります。家庭をもったあとは、家族の保険や貯蓄を見直すなど、収入と支出のバランスを考えた家計運用が大事になってきます。新聞・テレビ・インターネットなどを通じて金融知識を蓄えながら、ライフプランに合わせた最適な資産運用が求められます。とくにマイホームを持つ場合は、住宅ローンの知識を持つことは必須といえます。
高齢者になると、年金受給額の範囲で暮らせるように、生活の支出を見直す必要があります。ある程度の資産を築いていると思われますので、終活をする年齢になれば、家族と相続について話し合うことも必要でしょう。
金融リテラシーについては、金融広報中央委員会が運用しているサイト「知るぽると」で学ぶことができるので、利用することをおすすめします。
金融リテラシーは不動産投資にも役立つ
金融リテラシーを身に着けると、不動産投資にも生かすことができます。不動産投資は金融投資よりも大きな資金を運用することになります。
マンションを購入する際、金利や利回り、手数料などの基礎知識があると、より有利な購入・返済プランを立てることが可能になります。
契約時も同様です。不動産の契約書には、売買代金はもちろんのこと、手付金、支払い方法、引き渡し時期、瑕疵の責任、公租公課の分担、契約違反があった場合の違約金など、トラブルになる可能性のある重要事項がたくさん記載されています。金融リテラシーを身に着けていると、契約書をしっかりチェックする習慣がついているので、トラブルを未然に防ぐことができます。
以上のように、金融リテラシーは生活において役に立つだけでなく、不動産投資においても欠くことができないといえます。資産運用を成功させるためにも、日ごろから金融リテラシーの向上に取り組んでいきたいものです。
提供元・YANUSY
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