秋田県由利本荘市矢島町でワイン用ブドウを栽培している「TOYOSHIMA FARM」は、美しい田園風景を守りたいという想いから、ワイナリーの開業を目指している。

現在、CAMPFIRE内の「SCOP」にて、3月31日(日)までクラウドファンディングを行なっている。公開初日で目標金額を達成し、ネクストゴールに挑戦中だ。

ワイン用ブドウ栽培に不利な土地で、どのようなワインができるのか見てみよう。

秋田でワイン造りを目指すブドウ栽培農家

「TOYOSHIMA FARM」の豊島昂生(とよしまこうせい)さんは、矢島町でワイン用ブドウの栽培をしている。これまで、栽培したブドウを使って県外の醸造所に委託して作ったワインやジュースを販売してきた。

そして今回、ブドウ栽培を始めた頃からの夢である、ワイナリー開業にチャレンジする。

ワイナリーのある未来

豊島さんは各地で活躍するワイナリーに出会い、ワイナリーを中心に地域が活性化している事例を知った。

「ふるさとの田園風景を守りたい」と思っている豊島さんは、矢島町でワイナリーを開業すれば新たな特産品ができ、人々が交流できる拠点ができるのではないかと考えたという。

難しいブドウ栽培の環境

一般的にワインの原料となるブドウ栽培については、降水量が少なく、日照時間が長い、または一日の寒暖差が大きい環境が適していると言われている。それに対して、雪国で降雪量・降水量が多いうえ、日照時間も短い秋田県は、ワイン生産には適していないかもしれないと、豊島さんは言う。

そんな過酷な環境の中、ゼロから栽培法を学び、手探りで苗木を育てた日々は失敗の連続だった。

ここでしか生み出せないブドウの特徴

現在同農園では、約2ヘクタールの畑で、赤ワイン用のメルローや白ワイン用のシャルドネなど、国際品種8種・計約6,000本を、海外で主流の「垣根仕立て」で栽培している。

心血を注いで栽培したブドウを、まずはジュースに加工したところ評判に。そして就農から4年目の2020年、ついに山形県と長野県の醸造所に委託する形で醸造を実現した。

最初に醸造した白ワインとスパークリングワインは県内外から反響を呼び、早々に品薄になった。

酸味が特徴

ブドウ栽培には不利な環境が、ここでしか生み出せない特徴をブドウたちにもたらした。

暖かい地域ではブドウの甘みが増す一方、酸味は徐々に薄れていく。ところが豊島さんの育てるブドウは、温暖とは真逆の環境で育てることにより酸味に特徴があり、「綺麗な酸が残り、すっきりとした飲みやすいワイン」として評価されている。

駅近くのワイナリー

そんな、ワイン用ブドウの栽培に取り組んできた豊島さんがいよいよ、ワイナリー開業に向けて動き始めた。由利高原鉄道「矢島駅」からほど近い施設を活用し、準備を進めている。

計画では、2024年秋にワイナリーを開業し、あわせて酒造免許を取得。2025年から自社醸造ワインの出荷を始める予定だ。

今回行っているクラウドファンディングでは、白・赤ワインとワイングラスのセットや、秋田県の特産品である比内地鶏を使用したおつまみ缶詰とのセットなどを販売している。

海外や国内の他産地とは異なる、矢島町だからこそ表現できるワインを楽しみに待ちたい。

秋田・鳥海山のふもとでワイナリー開業に挑戦!
実施期間:実施中~3月31日(日)

(田原昌)