花粉症の時期が近づいてきました。この時期になると、鼻水が止まらずに苦労する人が多いはずです。
他にも、ダニやハウスダストなどが原因で、鼻水が止まらなくなることがあるでしょう。
アレルギー性鼻炎の症状を抑えるために、薬局に駆け込む人もいます。
しかし、「自分はアレルギー性鼻炎だ」と考えている人は、改めて医師の診断を受けてみると良いかもしれません。
なぜなら、アメリカのシンシナティ大学(University of Cincinnati)医学部に所属するアフマド・R・セダガット氏ら研究チームの最新の研究では、「自分はアレルギー性鼻炎だ」と主張する参加者の45.2%が慢性副鼻腔炎を患っていると判明したのです。
この事実は、鼻水の悩みを持つ人の多くが、誤った治療でなかなか症状を改善できていない可能性を示唆しています。
研究の詳細は、2024年1月31日付の学術誌『Otolaryngology–Head and Neck Surgery』に掲載されました。
アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎

アレルギー性鼻炎(AR:allergic rhinitis)とは、鼻づまりやくしゃみ、透明のサラサラした鼻水を特徴とするアレルギー疾患です。
原因としては花粉が多く、ダニ、ハウスダスト、カビなどでも生じます。
一方、慢性副鼻腔炎(CRS:chronic rhinosinusitis)は、副鼻腔に炎症ができる病気です。
鼻づまり、粘り気のある鼻水、嗅覚低下、頭が重い、鼻水が喉に落ちることによる痰や咳などを特徴としており、「蓄膿症」という俗称で呼ばれることも多いです。

原因の多くはウイルス感染だと言われており、鼻の構造によっては慢性副鼻腔炎になりやすい人もいるのだとか。
このように、アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎は異なる疾患であるものの、「鼻づまり」「鼻水が出る」など、重複する症状が見られるため、患者が自分の判断だけで見極めるのは困難です。
またセダガット氏ら研究チームによると、「医師でもアレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎を区別するのが難しい場合がある」とのこと。
それでも、「アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎には、多くの点で異なる治療法があります」と続けており、この2つを正しく区別する必要性を強調しています。
こうした背景から、今回セダガット氏ら研究チームは、患者の主張と実際の診断の違いについて調査することにしました。