就活→起業へ!

ただ、そこまでいっても学生時代の活動で終わってしまう人も多いもの。なぜ、そこで関さんは起業という道を選んだのでしょうか。

「1番は現場の声を聞いていたことがポイントかなと思っています。企業だけではなく、フードバンクなど食糧支援をしている人たちのところにも行っていたんですよ。

ちょうどコロナ禍(で経済的に厳しい状況)だったこともあって、SOSを出している支援希望者がたくさんいました。

同じ社会のなかで、たくさん食品があまっているのに、ちゃんと(必要な場所に)届いていないことへの矛盾を感じて。

『目の前にある課題を自分たちのサービスで解決したい、ほかにやっているところがないから自分たちでやりたい』と思ったのが(起業の)きっかけです」。

「社会に必要だ」と思っていた自身の考えが、コンテストで入賞したことで第三者からも社会的意義があると認めてもらったことも後押しになりました。

当時、大学3年生だった関さんは就職活動もしていたそうです。しかし、休学することで、もし失敗したとしても、卒業せずに就活などを再び行える道を残した状態で起業することを決めました。

キラキラしていたわけじゃない

SDGsへの貢献を目指して起業するとなると、“意識が高い人”と思われることもあります。

ただ、関さん自身は、かつてはSDGs(持続可能な開発目標)に関する知識もなく、

「『学生のときすごかったんでしょ、優秀だったんでしょ』と言われますけど違います。バイトやサークル(活動)をしている普通の大学生でした」

と断言。

「自分のいまの生きがいはStockBaseと感じたからやっているだけで。

やりたいことを考えたときに頭で考えても見つからなくて、心躍ることをするようにしています。『好きかも』とか『楽しい』と感じることをやる。

『やりたいことを見つけなきゃ』ではなくて、心の変化を繊細に感じ取っていきたいと思っています」

と話します。

そんな関さんが大学や高校の授業、起業したい人が集まるセミナーに呼ばれて自身の話をすると、

「自分でもできるのかなと思った」「起業を身近に感じました」

というコメントをもらうこともあるんだとか。

「『意識が高くなくても起業している人はいる』と話すことで、固定概念を崩しに行っているところもあります」

3月14日(木)公開の後編「「起業したい!」……でも何から始めれば良い? “普通の大学生"だった関芳実さんが70社と契約する企業を作り上げるまで【インタビュー後編】」では、起業を決めたものの、何から始めたらいいのかが分からなかった関さんが、いかにして、大企業と取引するほどの会社を作り上げたのか、その道筋を聞いていきます。