NISAの非課税投資枠は年間最大120万円、最長非課税期間は5年間だ。つみたてNISAやiDeCo(イデコ)といった非課税制度と比べ投資期間や非課税期間が短い代わりに、年間の投資額が大きく設計されている。このような特徴を持つNISAで検討したい投資信託とはどのようなものか。
NISAを最大限に活かす商品の3つの特徴とは?
NISAの非課税期間や非課税投資枠を考えると、短期、中期で利益を出したい人が活用したい制度だ。つみたてNISAや iDeCo(イデコ)といった長期投資とは違い、相場予測も重要になってくる。リスク許容度の低い投資初心者というよりも、リスク許容度が高く、投資の知識や経験がある投資経験者に向いていると言えるかもしれない。
値上がりが期待できる商品
NISAの非課税期間は5年と比較的短く設計されている。そのため、短期、中期で値上がり益を取れる商品でなければ、非課税投資枠の恩恵を十分に享受することはできない。
インカムゲインが期待できる商品
NISAの非課税メリットを享受するには、運用益を上げる必要がある。非課税期間が定められているため、売却を行いたいというタイミングで値下がりしている場合、そのメリットを十分に享受できない可能性もある。
そのため、値上がり益だけでなく、配当などのインカムゲインに期待できる資産へ投資し、利益を積み増していくという方法も利に適っている。
コストが低い商品
NISAでは、短期、中期で利益を出すことが重要である。そうなると、アクティブファンドも選択肢に多く上がってくるだろう。投資を行う上でコストは低いに越したことはないが、NISAの場合は、相場予測も重要となるため、多少のコストは割り切って値上がり期待の持てる商品を選択する姿勢も必要になるだろう。
NISAで検討したい投資信託4選
これらの特徴を踏まえ、NISAで注目の商品を商品種類別に4つピックアップして紹介しよう。
国内株式「スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)」
国内株式は比較的身近な投資対象だろう。まずは国内株式のアクティブファンドを紹介する。スパークス・アセット・マネジメントの運用する「スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)」だ。
この投資信託は、ボトムアップアプローチで高い技術力やブランド力を持つ企業を発掘し、原則として長期投資を行うという運用方針を持つ。組入銘柄数は16銘柄とかなり厳選されている(2019年3月末時点の運用報告書による)。
そのパフォーマンスは良好であり、過去1年間は6.92%、過去3年間となると54.09%ものパフォーマンスを示している。TOPIX(配当込)のパフォーマンスが過去1年間で-5.04%、過去3年間で26.20%であることを考えれば、優秀なアクティブファンドだといえよう。
信託報酬が年率1.64%(税抜)、信託財産留保額も0.3%かかるなど、インデックスファンドと比較するとコストは割高であるが、それを上回るパフォーマンスを残している現時点では、割り切れる数字と見ることもできる。なお、購入時手数料は購入窓口によって異なるが、SBI証券や楽天証券等では無料となっている。
海外株式「グローバル・バリュー・オープン」
次は海外株式に投資するアクティブファンドである。40代であれば、老後までの時間もあるため、ある程度のリスクを取ることも可能だろう。積極的な投資を検討する場合は海外株式も選択肢に入れたい。ここでは野村アセットマネジメントの運用する「グローバル・バリュー・オープン」を紹介する。
この投資信託は、ボトムアップアプローチで割安な優良企業を発掘し、バリュー投資を行うファンドである。特に配当利回りとROEといった指標を重視している点に特徴がある。
国別配分の6割弱をアメリカが占めており、残りも先進国を中心に投資を行っている。過去3年間のパフォーマンスも31.9%とベンチマークであるMSCI ワールド インデックス フリー(円換算ベース)の25,1%を上回る(2019年3月末時点の運用報告書による)。
コスト面では、信託報酬が年率1.52%(税抜)、信託報酬が0.3%となっている。インデックスファンドと比較すれば高めだが、海外株式のアクティブファンドの中では、決して高い水準ではない。なお、ほとんどの窓口で購入時手数料がかかる点は、頭に入れておくべきだろう。
REIT「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」
NISAにおいては、REITも重要な選択肢と言えるだろう。値上がり益に加え、不動産収入というインカムゲインにも期待できるため、NISAとの相性もよい。ここではフィデリティ投信の運用する「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」を紹介しよう。国内の不動産であれば、投資初心者でも、比較的相場観も掴みやすいだろう。
この投資信託は国内REIT30銘柄へ投資を行っている。ポートフォリオの実績配当利回りは東証REIT指数を上回っており、配当利回りを重視した運用を行うアクティブファンドである。また、投資セクターも分散しており、過去3年間のパフォーマンスは13.83%である(2019年3月末時点の運用報告書による)。
信託報酬が年率0.95%(税抜)、信託報酬が0.3%となっているが、同じ国内のREITへ投資するインデックスファンドと比較すれば、決して高くはないはずだ。購入時手数料を無料としている証券会社もある。
なお、この投資信託は毎月分配型となっている。今後の不動産市況を強気で見る場合は、同じ国内REITに投資する投資信託でも、年1回決算型の商品を選択し、分配金を手元に戻すのではなく、投資に回すのもよい。
海外債券「ゴールドマン・サックス・世界債券オープン Bコース(為替ヘッジなし)」
債券についても見ていこう。安定的な運用を希望する場合、債券への投資も選択肢となる。ただ、国内の債券は低金利環境で利回りが低く、NISAの非課税メリットを享受することは難しい。
そのため、債券型の投資信託を選択する場合は、海外債券を活用したい。ここではゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「ゴールドマン・サックス・世界債券オープン Bコース(為替ヘッジなし)」を紹介しよう。
この投資信託は国内外の債券への分散投資を行っており、原則として投資適格債への投資を行っている。投資のメインは各国国債であるが、社債への投資も行う(2019年3月末時点の運用報告書による)。
また、比率こそ少ないものの、投資非適格の低格付債への投資も行っている。ポートフォリオの平均最終利回りは2%弱、過去1年間のパフォーマンスも2.00%だ。
信託報酬は年率1.05%(税抜)であるが、信託報酬はなく、同じ資産クラスの投資信託と比べてもコストが高過ぎることはないだろう。購入時手数料を無料としている証券会社もあるため、しっかりと確認したい。
ここでは年2回決算型で、為替ヘッジのないBコースを取り上げたが、ほかに為替ヘッジを行うAコース、毎月決算型で為替ヘッジを行うCコース、毎月決算型で為替ヘッジのないDコースがある。好みで選択してもよいが、為替ヘッジのコストと債券の利回りを鑑みると、なるべく為替ヘッジなしのものを選択したい。
リスクとリターンはトレードオフの関係であることを忘れずに
リターンが期待できる商品は、リターンに伴ってリスクも高くなるということは忘れないでほしい。今回はNISAで利益を得るということを目的に、アクティブファンドを中心に紹介したが、NISAにはもちろんリスクの低いインデックスファンドもある。NISAを活用する際はリスクとリターンのバランスを考えながら、何をどうポートフォリオに組み込むべきかどうかを検討したい。
文・樋口壮一(金融ライター)
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