河出書房新社は、昨年1月に他界したミュージシャン・高橋幸宏氏の多彩な魅力、数々の偉業に迫った『文藝別冊 高橋幸宏 音楽粋人の全貌』を、2月16日(金)に刊行。

同書は、名だたる寄稿陣による豪華誌面、資料性の高さなどが発売直後より大きな反響を呼び、全国書店店頭・ネット書店での好評を受け、この度重版が決定した。

音楽粋人 高橋幸宏の魅力・偉業に迫る決定版

高橋幸宏氏は、17歳でドラムスティックを手にプロ活動を開始。大学在学中に加藤和彦氏率いるサディスティック・ミカ・バンドのメンバーとしてデビューした。

1970年代後半には、細野晴臣氏の誘いを受け、坂本龍一氏とともにイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)へ参加、世界的な人気を獲得した。昨年2月のグラミー賞受賞式「イン・メモリアム」コーナーで、追悼の意が表されたことからも、その絶大な影響力が窺える。

YMOの活動と並行して、ソロアーティストとしての楽曲制作を開始していた高橋氏は、J-POPの先駆けともいえる歌心あふれるポップサウンドを世に送り出し、その後もアーティストへの楽曲提供、プロデュースワークなど精力的な活動を続けた。

2000年代以降は、細野氏と再びタッグを組んだスケッチ・ショウを皮切りに、pupa、第3期サディスティック・ミカ・バンド、再々生YMO、METAFIVEなどグループでの活動が活発化。昨年に他界するまで、あふれる創作意欲は止むことがなかった。

そんな高橋氏の魅力・偉業に迫った『文藝別冊 高橋幸宏 音楽粋人の全貌』は、その類まれな足跡と交遊を物語る関係者インタビュー。音楽、ファッション、映画など、他分野にわたる専門家による寄稿文。そして、充実の作品紹介と年表、貴重なツアーパンフレットなどを基に、一時代を築いた高橋氏の人物像に多角的に迫る決定版だ。

10名におよぶ関係者へのインタビュー・対談

音楽活動、映画などで関わったクリエイターへのインタビュー「TALK ABOUT YT」、ファッションを通じて交流を持った関係者による対談「CROSSTALK ABOUT YT」、活動の変遷に沿って関りを深くしたキーマンたちによる高橋氏への思い、深い洞察が語られている。

多角的な観点から高橋幸宏を捉える論考・エッセイ

高橋氏の多岐にわたる活動を、音楽はもちろん、ファッション、映画、文学、都市論といった観点から読み解く「THINK ABOUT YT」。古参のファンにとっても、新たな視点が得られる粒ぞろいの論考・エッセイを収録した。

ツアーパンフレット、作品レビュー、年表など充実の史資料

所属レーベルが意匠を凝らして制作したツアー公式パンフレットの誌上ギャラリー「ARCHIVE OF YT PART 1」、主要作品+プロデュース作品のレビュー、年表「高橋幸宏とその時代」からなる「ARCHIVE OF YT PART 2」と、充実の史資料でその類まれな足跡をたどる。

軽妙にして洒脱なエッセイ、対談などを再録

坂本氏、椎名誠氏との対談原稿、大林宣彦氏との往復書簡、細野氏による追悼文を掲載。高橋氏自身の軽妙洒脱な筆の運びを堪能できるエッセイ2編を再録している。

新旧ファンはもちろん、改めて同氏の偉業をたどる人にとっても、高橋幸宏氏という音楽粋人の全貌を知り、ありし日の佇まいを浮かび上がらせる渾身の一冊『文藝別冊 高橋幸宏 音楽粋人の全貌』。初版を買いそびれたファンにとって、今回の重版は朗報中の朗報だろう。

文藝別冊 高橋幸宏 音楽粋人の全貌
仕様:A5判/並製/264頁
発売⽇:販売中
税込定価:1,672円(税込)

(高野晃彰)