鳥の羽毛を一切使用しない、近未来のダウンジャケットが、冬のファッションシーンを変えていくかもしれない。
太陽光をコントロールする素材、「SOLAMENT(ソラメント)」を採用したダウンジャケットのプロトタイプが、世界的に権威のある「iFデザイン賞 2024」を受賞した。
また、アメリカ・テキサス州で開催される世界最大規模のテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に、同素材を用いたハットやスカーフのプロトタイプとともに登場する。
暖かさと涼しさを自在にコントロールする素材
住友金属鉱山が2002年に発明した「SOLAMENT」は、近赤外線吸収ナノ微粒子を活用した素材テクノロジー。光を熱に変える特性をもつ素材が、見た目からは想像もできない暖かさを実現する。
また、太陽光を吸収するため、遮熱して涼しくすることも可能。透明性も高いため、何色にもなれる自由度を兼ね備える。
その活用方法は多岐にわたり、ファッションアイテムはもちろん、農業や建築、モビリティなど、あらゆる分野でサステナブルな性能を提供する。
ちなみに「Solar(太陽)」と「Element(素材)」を組み合わせたネーミングは、日本語の「空」という意味も併せ持ち、空の下でさらに機能を発揮する素材であることを表現しているという。
見た目の透明感とは裏腹な暖かさを実現
iFデザイン賞に輝いたダウンジャケットは、ファッションデザイナーの津村耕佑さんが監修。鳥の羽毛を一切使用しない空洞を最大の特徴とし、「DOWN-LESS DOWN JACKET(ダウンレス ダウンジャケット)」を名乗る。
そして、「SOLAMENT」が塗布された生地は、光に当たるだけで発熱し、見た目の透明感とは裏腹な暖かさを実現する。
その暖かさを手袋で比較すると、同素材を含まない場合は+6.4度、含む場合は+19.4度と圧倒的な差が出たという。
ファッションだけでなく、様々な分野で大いなる可能性を秘めた「SOLAMENT」は、今後の展開にも要注目だ。
(zlatan)