(本記事は、佐藤 祐一郎氏の著書『小さくても勝てる!』の中から一部を抜粋・編集しています)

金融機関とWin-Winの関係をつくる

●現場見学会には金融機関もお招きする
現場見学会に銀行の担当者にお越しいただくこともあります。どのように改修工事を行っているか、その現場を理解していただくと、銀行側も当社に紹介しやすくなるはず。確度の高い紹介をいただくことにつながっています。まさに、取引銀行と当社はWin -Win の関係になっているのです。

このような銀行との関係のなかで、7年ほど前に当社としては支払手形をなくしました。

建設業界は入金にも支払いにもまだまだ手形が流通していますが、資金的に余裕があるのに手形で支払うことに、ほとんど意味はありません。支払手形をやめることで、不渡りによる倒産も起こらなくなります。資金繰りに注視していく必要はありますが、よりつぶれない経営を行うことができるようになったと言うことができるでしょう。

支払いを手形から振込みにしましたが、当社の締め日は毎月17日で、協力工事会社への工事代金は業種によって当月末か翌月15日には振り込むようにしています。当社は外注先にとって、とても支払いぶりのよい会社であると思います。これも資金繰りに余裕があるからこそできることです。さらには、支払条件をよくすると、優秀な協力会社さんが集まりやすくなるメリットもあります。

 

●潤沢な資金が競争力の源泉
金融機関との関係をよくするものに「銀行訪問」があります。

4半期ごとに、各行へ数字を報告しにいきます。

多くの会社は、銀行からお金を借りても、そのお金をどのように使ったのかを報告しません。報告をしないから銀行は安心できずに、担保や保証を求めるわけです。

お金を借りた人が、貸してくれた人の信用を得るには、お金の使い道をきちんと報告をする必要がある。だから、銀行訪問によって、会社の現状、売上、経費、利益、今後の事業展開などについて報告すると、先方は当社を信用してくださるのです。銀行訪問は10年以上前から1回も欠かさず行っています。

銀行訪問が苦痛だと感じる経営者もいるようですが、私はまったくそのような気持ちはありません。むしろ、銀行の担当者から新たなお客様を紹介いただけるので、私は営業活動の1つと位置づけています。

こうした銀行とのおつきあいによって資金が潤沢になり、それが大きな仕事を受けられるバックボーンにもなっています。普通に考えれば、入金が着工から1年先の仕事を受けたい業者はいません。しかし、当社では受けることができる。厳しい支払い条件にも耐えられる。

逆に言えば、その厳しい支払い条件に耐えられることに、当社が守られているということもできます。それが、同業の同規模他社との競合にも勝てることにつながっていると見ることもできます。

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