第2節まで終了した時点で、連勝スタートのチームが不在という例年以上に大混戦モードの2024明治安田J1リーグ。僅差の試合で決着を付けることを期待されている存在が俗に「助っ人」と呼ばれる外国籍選手だろう。
ここでは今冬に移籍した新外国籍選手に注目。アンストッパブル(止められない)な選手3人を紹介する。
エリソン(川崎フロンターレ)
真っ先に名前を挙げるべきなのは、サンパウロFC(ブラジル)から今季川崎フロンターレに加入したFWエリソンだろう。ACL(AFCアジア・チャンピオンズリーグ)の山東泰山(中国)戦で公式戦デビューすると、PKを決め幸先よく公式戦初得点を記録。そこから出場した公式戦では4戦連発となる5ゴールを挙げており、早速量産体制に入っている。身長は180cmと特別高いわけではないが、鍛え上げられた肉体はJリーグ随一の強靭さを誇り、DFのプレッシャーを受けてもビクともしない。また、得点数の多い選手にありがちなエゴイストではない。
第2節のジュビロ磐田戦(4-5)では、FW山田新が倒され川崎がPKを獲得。チームはエリソンをキッカーに設定していた。この時点で2得点を挙げていたエリソンは、ハットトリックを達成するチャンスだった。ところが、山田がボールを譲らない姿勢を見せると、背中を叩いて蹴ることを促したのだった。チームの団結を重視する屈強なブラジル人は、Jリーグで活躍するための条件を十二分に満たしている。年齢はまだ24歳と将来性も豊かだ。今季の川崎はここまでやや強度に欠け、容易に失点を繰り返しているが、自分たちで修正可能な課題でもある。チームとして優勝を目指すだけの守備を用意できた時、圧倒的な得点源を確保していることは大きな強みとなるだろう。
アレクサンダル・チャヴリッチ(鹿島アントラーズ)
昨季までFW鈴木優磨への依存度が高かった鹿島アントラーズにとって、待望の助っ人がFWアレクサンダル・チャヴリッチだ。約8シーズンプレーしたSKスロヴァン・ブラチスラバ(スロバキア)から期限付き移籍で加入したチャヴリッチは、第1節の名古屋グランパス戦でスタメンデビュー。ベールを脱ぐとともに後半2分に頭でリーグ戦初ゴールを記録すると、後半17分にはドリブルでサイドをえぐり正確なクロスを供給してアシストまで記録。挨拶代わりの1得点1アシストで3-0の快勝に貢献し、アウェイまで駆け付けたサポーターを早速歓喜の渦に巻き込んだ。
目を見張るのはその万能性。ドリブラーという前評判通りに足元の技術は高く、時間を作るドリブルも相手を突破するドリブルも可能。また、得点の場面がそうだったように、186cmの長身と斜めの動きから頭での得点も期待できる。第2節のセレッソ大阪戦では得点に至らなかったが、後半からは鈴木と2トップを組み新たな形も披露した。開幕から2試合で勝ち点4を獲得したランコ・ポポヴィッチ新監督にとって、すでになくてはならない存在だといえる。