日経平均株価が年明けから急上昇し史上初めて4万円台に乗った。バブル絶頂期の1989年末に記録した3万8915円はその後、34年にわたって破られることはなかった。街中では「実感がない」との声も多い。なぜ今株高なのか。

―株価好調の理由は。
 好調な企業業績を投資家が高く評価していることが大きい。上場企業の2024年3月期の純利益予想は過去最高で、来期も好業績が続くと見込まれる。円安で、自動車や機械などグローバル企業が海外で稼いだ利益が、円ベースで膨らんでいることも好業績の背景にある。

―米国株とも連動しているようだ。
 生成AI(人工知能)需要拡大への期待を背景に、米国ではエヌビディアなど半導体関連銘柄が急上昇している。日本も東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体関連銘柄に国内外の投資家の注目が集まり、これらで構成される日経平均が大きく値上がりした。

―日本企業自体は変わったのか。
 東証の要請もあり、大手企業を中心に自社株買いや政策保有株の縮減など「資本効率や株価を意識した経営」への取り組みが進んでいる。

―それにしても、なぜ今、日本株が?
 中国での不動産不況の深刻化で、中国に投資していた資金が日本にシフトしているとも指摘される。新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、「貯蓄から投資」の流れが定着するとの海外投資家の期待も下支えとなっているとみられる。

―今後のリスクは。
 野村証券の沢田麻希ストラテジストは、米国のインフレ長期化で想定以上に政策金利が高止まりすれば、「株価は大きな調整を余儀なくされるのでは」と指摘する。11月の米大統領選に向け、中国に対する関税大幅引き上げを公言するトランプ前大統領の再選可能性が高まれば、世界経済の行方に不透明感が強まるとみる向きも多い。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/03/05-19:12)

提供元・Business Journal

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