時折、「イワシなどの大量の魚が海岸沿いに打ち上げられた」といったニュースを耳にすることがあります。
日本であれば、2023年12月に北海道で発生し、人々の注目を集めました。
世界中でも同様の出来事が確認されており、最近であれば、2024年1月7日に、大量のイワシによってフィリピンの海岸線が銀色に染められる事件がありました。
このような「大量の魚の打ち上げ」の原因は様々な要因が絡みますが、日本やフィリピンのような場所でこの奇妙な事件がときどき起きる理由については、「湧昇(ゆうしょう)」というキーワードで説明できる可能性があります。
これは地球近海が豊かな漁場であることとも関連します。
岸を埋めるほどの大量の魚が打ち上がる現象は、非常に不気味に見えますが理由を知るとそれほど恐怖の対象ではなくなるかもしれません。
世界では度々、大量の魚が海岸沿いに打ち上げられる
/
函館市の海岸沿い
大量の魚が打ち上げられる
\
魚はイワシなどか?映像
は正午ごろ撮影(函館市戸井)
— NHK北海道 (@nhk_hokkaido) December 7, 2023
2023年12月、北海道函館市の海岸に、イワシなどの魚が大量に打ち上げられました。
ある専門家は、「イワシが、イルカやマグロなどの捕食者に追われて浜辺に逃げた結果」だと推測しています。
また2024年1月にも、北海道の斜里町で、寒さで凍ったイワシが大量に発見されました。
この度の原因は、「寒波の影響」だと考えられています。
水温が下がることでイワシたちは身動きが取れなくなり、打ち上げられてしまったというのです。
このように、「大量の魚の打ち上げ」は日本で度々確認されており、その原因も様々です。
そして同様の現象は、世界各地で生じています。
最近では、2024年1月7日に、フィリピン諸島の南端に位置する「ミンダナオ島」の海岸に、無数のイワシの群れが打ち上げられました。
その打ち上げられたイワシの数は、なんと数百万匹にも上ると推測されており、それら死んだ魚によって海岸線が銀色に変わりました。
原因不明で打ち上げられた魚を食べたいとはあまり思いませんが、フィリピンではこのイワシは、地元住民によって回収され食べたり売ったりされたようです。
ある地域では、100人以上がそれぞれ20~30kgものイワシを集め、一部の人はこの現象を「神からの贈り物」だと考えているそうです。
住民の魚の使い道はともかく、このような海岸への魚の大量打ち上げは、一体なぜ起きるのでしょうか?
このようなケースでは、魚の打ち上げから約48時間後にその地域が強い地震に見舞われることがあり、「魚たちが差し迫る自然災害を察知して浅瀬に逃げた」と考える人もいるよううです。
しかしこの出来事を直接目撃したフィリピン・サランガニ湾保護区管理局(PAMO)の研究者シリロ・アクアデラ・ラグナソン・ジュニア氏によると、この度の魚の打ち上げは地震とは関連していないといいます。
では何が原因なのかというと、彼はこうした出来事は「湧昇(ゆうしょう)」と呼ばれる現象が関連していると説明しています。
魚を大量に海岸へ打ち上げる湧昇とは、どんな現象なのでしょうか。