茶番、通過イベント?終わった政倫審

各局生放送を組み、インターネットでもその状況が見ることが出来た政治倫理審査会。私の興味は「へぇ、こんな部屋でこんな風に席を設定してやるのね」で中身はやっぱり大したことはなかった、そんな気がします。そもそも終わった後、マスコミからコメントが出ない、いやマスコミネタにならないほど「よくわからない」「知らない」を繰り返しただけのイベントでした。私が茶番、通過イベントと申し上げるのはそういうことです。ある意味、岸田首相はカラダを張って自らが出席して冒頭で深謝してポイントゲッター。おまけに24年度の予算審議は野党の長時間の演説という新牛歩作戦もあったもののどうにか年度内の決着の目途がつきそうです。岸田首相にしてみれば自らの課題を自助努力で解決したということになります。

私には自民党内部の雰囲気が今、どうなっているか知る術もないですし、国会張り付き記者やコメンテーターの言葉を敢えて聞いていませんが、元安倍派などは「敗軍の将は兵を語らず」になっているのでしょう。また囁かれるのは麻生氏、茂木幹事長と岸田氏とのすきま風。これはあり得るかもしれません。岸田氏は派閥解散も誰にも相談せず決めており、今回の政倫審出席も同様に根回しなくサプライズ感たっぷりの演出でした。その点では案外、小泉元首相ぐらいの策士ではないかという気がします。安倍氏は王道を踏み外さず進んだのに対して策略方法が違う訳です。見方によっては岸田首相はギリギリまで我慢するけれど一線を超えると何をするかわからないほどの行動力がある、とも言えます。

ならば岸田氏は使い方次第なのです。誤解してもらっては困りますが、私は岸田氏は当初から好きじゃないのですが、これだけ首相を長くやっていると振る舞いを含め経験値が圧倒してきており、他の候補者とされる人と差が出るのは当然なのです。私が今想像するのは来年の外交、そしてG7のメンバーであります。基本的に誰一人安泰な人がいないのです。英国の首相は変わるでしょう、イタリアは万年短期リリーフ、ドイツの首相は国内人気が酷く、フランス大統領はウクライナ派兵を主張するなどいつも個性豊かで悩みます。その点ではカナダの首相も同類ですが、こちらは既に色あせて存在感ゼロ。残るはアメリカ大統領次第ですが、G7がG7たる体制を維持できるのか、形骸化のリスク含みですが、岸田氏の存在感は減点法で案外評価されそうな気はします。

岸田首相 首相官邸HPより

イーロンマスク氏のAI訴訟

マスク氏も最近、以前ほどマスコミに名前が上がらなくなりました。一般的に人の人気や注目度は一定期間を過ぎると下がる、これは鉄則なのです。マスク氏はその点では長かったのですが、何故、このところ落ち目なのかといえばEVへの期待度が落ちてきていることはあるでしょう。もちろん、EVが売れなくなったわけじゃなくて成長率が落ちており、代わりにハイブリッドが遂にアメリカでも見直されていることでマスク氏がセンターステージにいない、そういうことです。

そんなマスク氏が久々にマスコミに出たと思いきや、オープンAIのサムアルトマン氏を提訴という話題です。以前、オープンAIのことをこのブログで詳述したと思いますが、同組織の母体はNPOで人類の利益を追求することで営利追求ではないというのがそもそもの理念でした。マスク氏も当時はその役員であったわけです。が、マスク氏が降り、オープン社はNPOの下に営利企業をつけ、結局実質的にマイクロソフト社の子会社の様な関係になってしまいました。これをマスク氏は怒っているわけです。ただ、会社の理念を変えてはいけないというルールは何処にもないはずで、経営方針の変更は年中起きているわけです。

マスク氏だってX(旧ツィッター)の買収後、その方針を巡り二転三転しています。何処までのブレが許されるのか、と言えば私は極端な話、180度ブレる結果になってもそれはその時の社会情勢がそれを求め、組織の責任者らがそれを決議したのであればそれ以上のものではないと考えます。そんなことを言えば中国が共産主義を止めて皆さんと仲良くしますのでよろしくと宣言するのを「お前はダメだ。共産主義なんだろう」というのと同じです。多分、マスク氏の腹の裏は3月にも追加されるオープンAI社の役員へのプレッシャーではないかと思います。アメリカは訴訟社会ですが、訴訟の真の目的が何かは訴訟慣れしていない日本人には分かりにくいと思います。その答えを一番よく知るのはトランプ氏かもしれませんね。

後記 弊社のマリーナの消防施設が所定のメンテ検査をクリアしていないと指摘され、今週、消防署の所長と面談をしました。先方言い分は「お前のところの消防施設が不良でそれが原因で重大事故が起きたら俺が責められるのだ。だから直せ」と。ところがこのマリーナを作って24年、一度も消防が定期点検に来なかったし、その間、火事が2度ありましたが、消防隊は誰もその消防設備に頼ることなく、消防車や地上の消火栓からの放水でした。メンテ検査済み証がない理由はパイプがプラスティック製で強度に耐えないからメンテ検査会社が承諾をしないからです。つまり、業者も責任が取れないから検査済み証へのサインをしないのです。本件、解決方法は見つけたのでいずれ収まりますが、会社の経営って本当に面倒くさくなりました。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月2日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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