世界最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比61%増の3兆9500億円で、最高益を更新する見込みだ。売上高は国内最大で、異論をはさむ余地なく日本一の大企業である。

 そんなトヨタの会長である豊田章男氏が、“走り屋のメッカ”といわれる首都高速道路神奈川5号大黒線上にある大黒パーキングエリア(神奈川県横浜市)に出没し、大きな話題になっている。

 高速道路を利用すれば、誰でもパーキングエリア(PA)に立ち寄ることはあるだろう。だが、豊田氏はそこに集まっている若者たちと談笑し、“何か”を手渡していたことが世間の関心を集めているのだ。

 大黒PAといえば、首都高最大のPAで、希少なスーパーカーやスポーツカーなどの高額な自動車やチューンアップした自動車がよく集まることから、クルマ好きの人が見物に訪れることも多い。一方で、違法な改造を加えたカスタムカーや暴走族なども多く集まることから、問題も多い。そのため、警察の取り締まりもたびたび行われている。

 その大黒PAに豊田氏が現れ、集まっている若者たちに声をかけたのだ。声をかけられた若者たちは、次々に驚きとともに喜びをSNS上に報告。気さくに写真撮影に応じた豊田氏や、豊田氏の愛車の写真などがネット上で拡散された。

 そこでBusiness Journal編集部はトヨタ自動車広報部に、豊田氏が大黒PAに赴いた意図などを聞いた。

――1月8日に豊田会長が大黒PAに現れ、若者と談笑していたのは事実でしょうか。また、若者たちに配っていたものはなんでしょうか。

広報担当者「事実です。若者たちに手渡していたのは、12日から始まる東京オートサロン2024の招待券です」

――その目的はどのようなものでしょうか。

広報担当者「若者にオートサロンへ足を運んでほしいという意図で、クルマ好きの若者が集まる大黒PAへ宣伝目的で訪れたようです」

――豊田会長が乗っていた愛車も注目を浴びています。GRセンチュリーではないかとの声が多いようですが、市販されていない特別車でしょうか。

広報担当者「センチュリーに乗っているのは確かですが、GRかどうかまでは公表しておりませんので、ご理解ください」

 クルマ好きの方々の分析によると、豊田氏はセンチュリーに乗り、ボディガードとみられる付き人が乗っていたのはクラウン、アルファード、クラウン、GRMNヤリスだったという。ちなみにセンチュリーは、市場価格が2008万円から、SUV(スポーツ用多目的車)は2500万円からという超高級車。それが豊田氏専用にカスタムされているとみられている。

 そんな高級車を筆頭にした一団が大黒PAの真ん中に現れ、しかも日本一の大企業の会長が降り立つ。そのうえ、近くにいる若者たちに声をかけて談笑する。声をかけられた若者たちが興奮してSNSに投稿するのも致し方ないところだろう。

 豊田氏は、「モリゾウ」の名前でレーシングドライバーとして耐久レースに参加するなど、マスタードライバーの顔も持つ。今回の一件は、トヨタの広報活動の一環というよりは、純粋に“クルマ好き”な豊田氏の好奇心がさせた行動なのかもしれない。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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