サムスンへの補助に疑問

 もう一つの理由が、日本政府からの補助を受けられる点だ。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と経産省は昨年12月、日本サムスンを「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」の助成先として選定しているが、政府は海外半導体メーカーの研究・製造拠点の誘致に力を入れ、多額の補助を行っている。世界最大手の半導体ファウンドリー・TSMCの工場建設(熊本県)について、政府は第一工場に総投資額の約4割に相当する4760億円、第二工場に約5割に相当する9000億円を補助。22年には米メモリー大手マイクロン・テクノロジーの広島工場の設備投資に400億円以上を助成することを決定している。

 なぜ政府は、ラピダスをはじめとする日本の半導体メーカーの競合相手でもあるサムスンに巨額の補助を行うのか。

「日本は最終製品である半導体では完全に世界で取り残されたが、装置や素材など半導体関連メーカーは世界市場でも強い競争力を持つ。政府としては、こうした企業とサムスンとの連携を強化させることで成長を後押しする意図があるのでは」(大手電機メーカー関係者)

 津田氏は今回のサムスンへの補助について疑問を呈する。

「200億円もの援助が妥当かどうかは疑問が残る。日本が誘致したわけではなく、日本の材料エンジニアが欲しいという積極的な理由で研究所をつくるからだ。投資額400億円の半分ではなく、4分の1程度の100億円が妥当ではないだろうか。残りの100億円を日本の材料・化学メーカーに使うべきではないか」

(文=Business Journal編集部、協力=津田建二/国際技術ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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