JR西日本は2018年10月24日、新幹線の風圧を社員に体感させる研修を中止した。この研修は、トンネル内の通路に社員が座り、最高時速300キロで通過する新幹線を至近距離で観察するという内容だった。2015年に福岡県内のトンネルで新幹線の部品が落下し、乗客1人がけがをする事故が起きたことを受けて翌年から始められた研修で、JR西日本は「安全意識の向上」を目的に掲げていた。しかしその一方で、研修参加者の間からも恐怖を訴える声が上がっており、労働組合の一部は研修の意義に疑問を呈して中止を求めていた。JR西日本は、観察位置をトンネル外の線路脇に変更した上で体感研修を再開させる予定だという。
高速で通過する列車によって発生する風は「列車風」と呼ばれる。JR西日本の研修の是非についてはさておき、列車風が極めて危険であることは、JRの社員だけでなく全国民がしっかりと認識しておくべきである。というのも、列車に近づきすぎたため列車風にあおられてよろめくと、悲惨な事故に発展する可能性があるからだ。そんな事故の1つを露メディア「VN.RU」から紹介しよう。
2019年6月19日夜、シベリアの中心的都市ノヴォシビルスクで14歳の少女が列車にはねられて死亡する事故が起きた。報道によると少女は友人とともにダンスからの帰宅途中であり、2人とも列車に接触したが友人は無事だったという。線路に近づきすぎた少女は、列車風によって吹き飛ばされた可能性が高いと考えられている。
そして、海外の匿名掲示板「2ch.hk」には事故直後の少女の姿を収めた画像が投稿された。生前はとても美しかった少女だが、線路の下に横たわっている彼女の姿は無残である。顔は衣服で隠れているが、血で汚れたその一部が見える。車体か地面に強打して傷を負ったのだろう。何よりもショッキングなのは、脚が妙な方向にねじ曲がっていることだ。列車にはねられたときの衝撃の大きさを物語っている。
日本では、列車利用者の安全を確保するため、国鉄時代に列車風風速の目安値が9m/sと定められ、この目安値を超えないように駅のホームが管理されてきた。現在も鉄道関連各社は、国鉄時代の目安値に基づいた安全対策を実施している。一方、海外では安全対策が不十分な地域もあり、駅のホームに立ったり線路脇を歩いたりする場合は、細心の注意を払う必要がある。
(文=標葉実則)
参考:「VN.RU」、「BBC」、「列車風のホーム上ならびに駅舎内での影響」、ほか
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提供元・TOCANA
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