シント=トロイデンVV(STVV)所属の日本代表GK鈴木彩艶が、今月3日のベルギー1部ロイヤル・アントワープ戦を前に、AFCアジアカップを通じての成長ぶりをアピール。STVVのトルステン・フィンク監督は同選手の移籍報道に対して複雑な思いを抱いているようだ。
鈴木は昨年夏に浦和からSTVVへ期限付き移籍すると、GKシュミット・ダニエルからレギュラーを奪取。パリ五輪世代屈指のゴールキーパーとして期待される中、昨年10月にはA代表入りを果たしたが、アジアカップでは全5試合フル出場も失点。パンチングの判断やセットプレーにおけるポジショニング等が批判の対象となっていた。
それでもベルギー紙『HBVL』によると、本人は今月1日の記者会見で「僕はアジアカップの舞台で多くのことを学びました。特にメンタル面で成長しましたね。この経験によって、(上位6クラブによる)プレーオフまでのラスト3試合で最大限のパフォーマンスを発揮する準備ができたと思います。アントワープ戦で失うものは何もないですよ」と、アジアカップでのプレーにより得られたものを強調している。
ただ一方で鈴木の去就については、ベルギーメディア『Voetbal』が今年1月に「彼がわずか1年でSTVVを離れる可能性は十分にある。すでにベルギー国外クラブから関心を寄せられている」と、ステップアップ移籍の可能性を伝えていた。
鈴木を含めてSTVV所属の複数選手に移籍の可能性が取り沙汰されているだけに、日本代表GKとともに会見に出席していたフィンク監督は立石敬之CEO(最高経営責任者)ら日本人のクラブ幹部に警鐘を鳴らしたとのこと。
「このクラブが次のステップに進みたいならば、チームの骨格を一つにまとめなければならない。もし今季終了後に5,6人の選手が移籍したら、我々は振り出しに戻るだろう。もちろん断れないようなオファーが来る可能性はある。ただこの若いチームを団結させることができたら、来季はさらに上位を目指せるし、そのことを選手自身も理解してほしい」と、所属選手にもSTVV残留を呼びかけたという。