韓国の司法判断2題

今週、韓国で日本に関する裁判の判決が2つありました。1つは韓国大法院(最高裁)の判決で、朴裕河氏著の「帝国の慰安婦」の表記内容について韓国慰安婦は売春婦で強制連行ではないと判断し、高裁差し戻しとなりました。6年越えで争われてた注目の裁判でしたが、朴裕河氏の勝訴となりました。差し戻しとなっても最高裁の判断基準が覆されることはなく、朴氏の実質勝訴で終わりとなります。

最近は慰安婦問題は日韓の歴史問題においてあまり主軸ではなく、いよいよ消えていくような気もします。

朴裕河氏 NHKより

2つ目の判断は対馬にある観音寺にあった石仏(観音菩薩坐像)が2012年に韓国の窃盗団により盗まれ、韓国持ち込みの際に税関で見つかり、韓国政府没収となっていたものについてそもそもの所有者と主張する韓国の瑞山浮石寺がその所有権をめぐり争っていたものです。

韓国高裁の判決は「日本のもの」でした。石仏そのものは1330年頃に作られたものとされますが、対馬の観音寺で1527年から保管しているそうです。判断の一つは1330年当時に作られた際の浮石寺と今の浮石寺が同一か判断できないことと日本の所有権を国際法的に認める20年ルールが当てはまる点から石仏の韓国側の所有の主張は否定されました。

韓国は情緒法とされます。時の政権の方向でなびきます。尹錫悦大統領は日本と協調しようという政治的姿勢は強く、数年前までの日韓の冷たい関係は雪解け状態にあります。そのようなことも今回の2つ判断の背景にはあるのでしょう。

尹政権が安定的長期政権であれば日韓関係にはプラス、また、中国と北朝鮮問題のボルテージが上がってきている中で日韓が争っている場合ではないというのは確かなポジション。原発処理水問題も尹大統領は日本の意向を汲んでいます。韓国政権がこの先、どうなるかわかりませんが、今のうちに歴史問題は片づけておいた方がよいでしょう。

後記 当地で毎年末に開催されるビジネスアワードの審査委員長を務めているのですが、顕彰するよりもビジネスにつまづいてしまっているケースがはるかに多く、このところ私はそのフィクサー係で走り回っております。別に自分のビジネスとは何ら関係がないのですが、日系ビジネスが風前の灯となっている様相を見て放置できない、というのが正直なところです。海外で日本人が起業するのは本当に大変だし、継続性の問題があります。ここに来て日系ビジネスは更に周回遅れとなった感じで、どのように立て直すのか、頭を痛める日々であります。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月28日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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