南野拓実 写真:Getty Images

 ASモナコ所属の日本代表MF南野拓実は、今月25日に行われたリーグアン(フランス1部)第23節RCランス戦で2ゴールをマーク。アドルフ・ヒュッター監督のもと、本職ではない右サイドハーフで好パフォーマンスを発揮しただけに、AFCアジアカップにおける森保一監督の采配や起用法の能力が疑問視されている。

 昨年6月、オーストリア1部レッドブル・ザルツブルク時代の恩師であるヒュッター氏がモナコ監督に就任したことにより、控え要員からレギュラーへと立場が一変した南野。今季ここまでリーグ戦19試合の出場で4ゴール5アシストをマークするなど、かつての輝きを取り戻している。

 本職であるシャドウ(ストライカーの背後)でのプレーが多かった南野だが、RCランス戦では「4-4-2」の右サイドでスタメン出場。それでも30分にペナルティエリアでこぼれ球を押し込むと、後半アディショナルタイムには右サイドからのペナルティエリアまでドリブルで持ち上がり、左足のシュートからゴールネットを揺らした。

 2ゴールでチームの勝利に大きく貢献しただけに、現地メディアはこぞって日本代表アタッカーを称賛。フランスメディア『フットメルカート』は「南野は重要な時期に調子を取り戻しつつある」とした上で、「右サイドという異なるポジションで、モナコのXファクターとなった」とヒュッター監督の起用法に言及。

 クラブ公式サイトは南野がリーグアン第23節のベストイレブンに選出されたことを伝えた上で、「右サイドにおける新たな役割で、3度のボール回収というデータが証明するように、攻撃的には危険をもたらし、守備的にはチームメイトを助けるために上下動を繰り返した」と賛辞を送った。

 南野のサイド起用と言えば、今年1月に行われたアジアカップのイラク戦が記憶に新しい。森保監督は2列目で左から順番に南野、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、FW伊東純也(スタッド・ランス)と配したが、攻撃陣が機能不全に。南野が中央寄りのポジションをとることにより、久保が右サイド寄りに流れるなど、全体のバランスが悪く、攻撃時に使えるスペースが狭まった。それだけにRCランス戦での活躍は、南野のサイド起用という観点からヒュッター監督と森保監督の能力差が現すものであると解釈可能だ。