今月25日に行われたカラバオカップ(イングランド・リーグカップ)決勝戦後の表彰式では、リバプール所属MF遠藤航がトロフィーを掲げる直前に中継画面が切り替わったことにより、「アジア人差別」の可能性が指摘されている。その中、同日開催のオランダ1部リーグ第23節NECナインメン対スパルタ・ロッテルダムでも、FW小川航基ら4選手を対象とした日本人差別があったと、現地で話題になっている。
事の発端は、米メディア『ESPN』がNEC対スパルタのキックオフ前に放送した「De Eretribune」における司会者の発言だった。ヤン・ヨースト・ファン・ガンゲレン氏は「この試合では、オランダ1部リーグ史上初めて4人の日本人選手がピッチに立つ。小川航基、佐野航大、三戸舜介、斉藤光毅。このことに私は満足している」と語ると、日本語で「ありがとう」と言葉を添えた。
しかし同番組に出演していたヒューゴ・ボースト氏は「そのように発音すべきかどうかは分からない。まだ少しシミが残っている」と語るなど、ファン・ガンゲレン氏による日本語の発音が“嘲笑的”だったと主張。ファン・ガンゲレン氏が「私は定期的に寿司を注文しているが…」と反論するなど、番組では両者による批判の応酬が繰り広げられたという。
またオランダのラジオ番組『ラジオ538』では、司会者のティム・クライン氏が「ファン・ガンゲレンはただ日本語らしく聞こえるように最善を尽くしただけだ。他国の言語を正しく発音しようとすることで、共感することができる。彼は人種差別主義者ではない」と擁護。オランダサッカー界では「ファン・ガンゲレン氏の発言が日本人差別に当たるか」という観点で、様々な意見が飛び交っているという。
なおNEC対スパルタの一戦では斉藤がフル出場したほか、他の日本人選手3名は後半途中でピッチを退いた。先日には、外国人とみられるSNSユーザーがブライトン所属MF三笘薫を「イエロー(黄色人種)」と呼んでいるだけに、欧州サッカー界における差別問題が深刻化している。