ほぼ33年ぶりの水準となっている「円安」。1ドル=150円台の水準に達したが、日本人の中には「海外に行くわけじゃないから無関係」「日本に住んでいるからどうでもいい」と、ほとんどこのニュースを気にしていない人も。

しかしほぼすべての人が円安と無縁ではいられない。そのワケとは。

そもそも「円安」とはどんな状況?

円安とは、日本円の価値が他の通貨に比べて下がることを指す。「1ドル=100円」が「1ドル=150円」になると、円安になったことになる。1ドルを得るためにより多くの円が必要になるからだ。

たとえば、1ドル=100円の場合は100ドルを得るため1万円が必要となる。一方、1ドル=150円の場合は100ドルを得るために1万5,000円が必要となる。

2つのケースを比較すると、1ドル=150円のときは余計に日本円が5,000円必要となったことになる。

日本に住んでいれば円安は関係ない?

こうした円安によるデメリットが影響するのは、海外旅行に行ったときや海外移住したケースだけ、と勘違いしている人がいる。なぜその考え方は誤りなのか。

日常生活において我々日本人は、さまざまな製品・エネルギーなどを海外から輸入している。 円安は輸入コストの増加を引き起こすため、結果的に日本人の家計の負担を大きくする。

前述の例の通り、1ドル=100円時代は100ドルの製品・サービスを1万円で輸入できたが、1ドル=150円になると1万5,000円が必要になるからだ。

日本人がほぼ輸入に頼っているものとしては、たとえば原油や天然ガス、石炭などのエネルギーが挙げられる。財務省の貿易統計によれば、2021年の原油の海外依存度は99.7%、天然ガスが97.8%、石炭が99.7%だ。

海外メーカーが開発・製造するスマートフォンなども円安の影響で値上がりしている。たとえばApple社のiPhoneはアメリカではドルでの販売価格が据え置かれても、日本では値上がりしている。これは分かりやすい円安の影響であると言える。

1ドル=200円になる可能性も

ここまで説明すれば、ほぼすべての日本人が円安と無縁ではいられないことが分かって頂けただろう。

円安はさらに加速する可能性があり、1ドル=200円の水準となる可能性もゼロではない。家計への影響がさらに大きくなるヤバい状況に、果たしてあなたは耐えられるだろうか。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。