ブラジル2部降格クラブのサントスは先月、V・ファーレン長崎と契約更新したファビオ・カリーレ監督の招へいを一方的に公式発表。違約金の支払いを求める長崎の声明に反発しているが、日本のみならずブラジル国内でもサントスのやり方に対する疑問の声が沸き起こっている。
カリーレ監督については、長崎が昨年12月4日に2024シーズンの契約更新を公式発表したにもかかわらず、サントスが同月19日に同監督の招へいを発表。翌日に長崎が「急な状況に困惑」と声明を出すと、今月5日には「今月5日現在まで契約に関する正式な手続きを再三求めているものの、未だにオファーレターも届いていない状況」と現状を説明。「我々としては、今後の日本サッカー界のためにも一方的に契約を破棄したことによる違約金に関しては支払いを求めるべきだと考えております」と、違約金要求というクラブのスタンスを明確化している。
これに対してサントスは6日、公式X(旧ツイッター)アカウントにて「長崎に敬意を表し、クラブ間の良好な関係を維持するべく、サントスはカリーレ監督の状況に関する完全な透明性を示すために、今後数時間以内に長崎へ連絡する予定だ」と声明を発表。
ただサントスのマルセロ・テイシェイラ会長は8日、ブラジルメディア『グローボ』のインタビューで「12月からプロの代理人とコンタクトを取っていたので、今の状況に我々は驚いている。違約金の発生は知らなかった」と困惑気味に語ったとのこと。今月にはクラブ幹部を日本に派遣する予定も明かしたという。
このサントスの姿勢に対して、ブラジル人ジャーナリストのリカ・ペッローネ氏は自身のYouTubeチャンネルを通じて「カリーレ監督もサントスも、長崎に違約金を支払っていない。サントスとカリーレ監督は、どちらが違約金を支払うのか決めていなかったようだ。サントスとカリーレ監督は合意しているが、誰が違約金を支払うのかについては話し合わなかった。完全にクレイジーであり、奇妙だ。サントスのやり方は非常にアマチュア的だ」と厳しい言葉を投げかけている。
なお長崎は2023シーズンまで大分トリニータを指揮していた下平隆宏氏をトップチームのヘッドコーチとして招へい。カリーレ監督を巡る問題が全面解決するまで同氏が暫定指揮を執ることを明らかにしている。