人間は死の数秒前に何を見るのだろうか? 天国から迎えに来る天使か? それとも、大きな鎌を手にした死神か?
そんな死の瞬間を捉えた監視カメラ映像を編集した動画が、海外の動画共有サイト
「TheWorldWatch」などで公開され、SNSでも拡散されて話題となっている。
受付窓口に立っていた男性が、急に腕を上げて振り返り、クルクル回りながら倒れてしまった。座っていた女性も急に上を見上げて体を捻った後、倒れてけいれんしている。駅のホームに立つ男性は、何かの存在に気付いたのか、腕を上げて周囲を見回しながらよろめき、ホームから転落して走行中の列車に巻き込まれてしまった。スーパーで買い物中の男性は、ポケットから財布を取り出して中身を確認しているとき、何かに怯えるように腕を上げ、後ろを向いた直後に倒れた。ガソリンスタンドでも、男性が回転しながら倒れたのだった。
これらの映像に映っている人々の身に何が起こったのかは明らかでない。TheWorldWatchのコメント欄には、「これらはすべて、C19ワクチンの義務化が大流行したときに始まった。偶然か?」という陰謀論めいた書き込みも見られる。しかし、映像がいつどこから流出したのか不明である以上、安易にワクチンと結びつけるわけにはいかないだろう

人々が腕を上げて回転しながら倒れる様子はSUDEP(Sudden Unexpected Death in Epilepsy)を彷彿とさせる。SUDEPは「良好な状況にあるてんかん患者に起きる、突然の、予期せぬ、外傷や溺水が原因ではない死」と定義される。てんかん患者の死因の20%以上を占めると報告されていて、小児患者で年間1,000人あたり0.22人、成人患者で年間 1,000人あたり1.2人の発生率だという。
SUDEPのリスクは、けいれん発作または強直間代発作(意識をなくし、手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身けいれん発作)のある患者で最も高くなる。これらの発作では、筋肉が硬直し、意識を失い、体がリズミカルにけいれんし始めることで、心拍数が速くなったり、呼吸が長時間停止したりして、酸素レベルが低下する。また、身体に多大なストレスを与えることにもなる。

過去 1 年間にけいれん発作が 1 回でも発生すると、SUDEPのリスクが高まる可能性があるという。スウェーデンの研究では、けいれん発作が1回あり、寝室を共有していない(夜間に発作が起こっても誰も介入しない)場合、けいれん発作がなく寝室を共有している場合に比べて、発作が起こる可能性が67倍高かったと報告されている。
SUDEPは通常夜間に発生し、目撃されることは少なく、死亡の直前に発作があったかどうかなど、死亡時刻に関する情報が限定的だ。多くのてんかん患者は、心臓病などの他の深刻な医学的問題を抱えていて、死因の特定が困難になりやすい。法医学の現場でも、SUDEPに関する知識が不十分で、死因が明らかにならないことがある。
米ディズニー俳優のキャメロン・ボイスは、2019年7月6日に20歳という若さで亡くなった。彼の死因もSUDEPだったが、彼の両親はSUDEPを全く知らなかったという。彼の死がニュースで報じられたこともあり、米国では近年、SUDEPに対する注目が高まっている。
てんかんは、脳が一時的に過剰に興奮することによって発作を引き起こす病気だ。腕を上げて回転しながら倒れた人々がてんかん発作を起こしていたとすれば、興奮した脳の働きによって、彼らは実際に天使や死神を目撃したのかもしれない。
参考:「The Conversation」、「SUDEP─最近の話題」、ほか
文=標葉実則
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提供元・TOCANA
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