「スタートアップ大国」として知られるイスラエル。ヘルステックやフェムテック、AI、IoT、フィンテックなどさまざまな領域で技術力を示している。特にサイバーセキュリティ部門は同分野での世界の販売額の10%・投資額の20%を占めるほど。世界有数のサイバーセキュリティ・イノベーションのグローバルハブとして、30年にわたって業界をリードしてきた。
イスラエルでサイバーセキュリティ技術が飛躍的に進化した背景には、軍事用システムを守るためにセキュリティを強化してきた歴史がある。同国では高校卒業後にあたる18歳から男女それぞれ2年8か月および2年の兵役義務があり、サイバーセキュリティのスタートアップ創業者は軍でサイバー防衛を担う8200部隊出身の男性であることがほとんどだ。
創業チームは8200部隊出身という定番パターンのスタートアップ
2021年創業の「Sentra」も、まさにそのパターンを踏襲したスタートアップだ。8200部隊出身のAsaf Kochan氏、Yoav Regev氏、Yair Cohen氏を中心とする、同分野での経験が豊富な面々によって設立された。Kochan氏は機械学習ベースのデバイスマッピング技術の新興企業「Crosswise」(オラクルに売却)の共同設立者としても知られる人物。同じくCrosswiseの共同設立者だったRon Reiter氏もSentra共同創業者の一角である。Yair Cohen氏はDatadog、Microsoft Azure Protection で上級製品管理職を務めた経歴がある。

Sentraの共同創業者たち。左からRon Reiter氏、Yair Cohen氏、Yoav Regev氏、Asaf Kochan氏。Sentra公式サイトより引用
同社が提供する「データ・セキュリティー・プラットフォーム・マネジメント(DSPM)」は、国家機関や企業が抱えるセキュリティリスクを先回りして発見するもの。高度なアルゴリズムと機械学習を用いて、リアルタイムでサイバー攻撃の脅威を検知し無力化する。
Sentraの特筆すべき点は日々進化する新しい脅威への適応能力だ。クラウド・データの動きを理解し、機密データの発見と分類、データセキュリティコントロールの継続的な分析を行い、データの脆弱性へのアラートも自動化されている。常時アップデートされることにより、国家機関などのサイバーセキュリティチームは現実世界の攻撃シナリオをシミュレーション・訓練可能となっている。