日中韓3カ国の環境相会合が4日、名古屋市で開かれた。伊藤信太郎環境相は、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、周辺海域で放射性物質トリチウムの濃度を厳格に測定し、これまでに異常がないことを説明。「人や環境への影響がないことを改めて確認した」と述べ、安全性を強調した。

 これに対し、中国の黄潤秋・生態環境相は処理水を「核汚染水」と表現し、「海は人類共通の財産。核汚染水は利害関係者と十分協議して処理を行うべきだ」と主張。韓国の韓和真環境相も会合後の共同記者会見で「汚染水」との表現を用いて、「韓国国民の多くが憂慮しており、国際社会に発表した計画通りに実施すべきだ」と述べた。

 伊藤氏は、記者団に「科学的根拠に基づかない『汚染水』との表現を続けることは遺憾だと伝えた」と語った。

 会合は、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標の達成に向け取り組むことを再確認することなどで一致。同日午後に共同声明を採択し閉幕した。処理水に関する文言は声明に盛り込まれなかった。 

 3カ国環境相会合は、1999年から各国持ち回りでほぼ毎年開かれており、今年で24回目。コロナ禍を経て、対面での開催は4年ぶり。来年は韓国で開催される。
◇共同声明のポイント
 一、気温上昇を1.5度に抑える目標の達成に向けて取り組むことを再確認
 一、プラスチックごみによる環境汚染防止に向け、来年韓国で行われる国際条約の政府間交渉が成功することに期待
 一、侵略的外来種に対処するための協力を強化(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/11/04-17:11)

提供元・Business Journal

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