ヌアンパン・ラムサム氏 写真:Getty Images

 実業家で、長年にわたりタイ代表マネージャーも務めたヌアンパン・ラムサム氏(通称マダム・パン)が2月21日、第18代目のタイサッカー連盟(FAT)会長に正式就任した。任期は2028年2月8日までの4年間。

 資産家一族に生まれたラムサム氏は、1966年生まれの57歳。保険会社ムアンタイ・インシュアランスの社長兼CEOであり、2015年からはタイ1部ポートFCのオーナーも務めている。2008年から10年以上にわたりタイ女子代表マネージャーを務め、史上初の女子ワールドカップ出場に貢献。先日まで男子のタイ代表マネージャーとしてチームを支えていたが、会長選出馬のため辞任。メディアにも度々登場し、その美貌が話題になることも多い。

 これに先立ち2月8日に行われた会長選には計5人が立候補していたが、ラムサム氏は73票中68票を獲得(得票率93%)して圧倒的大差で当選。これにより、ラムサム氏はFAT史上初の女性会長になるとともに、アジアサッカー連盟(AFC)加盟国全体でも史上初の女性会長となった。

 なお、世界を見てみると、イングランド協会サッカー(FA)のデビー・ヒューイット会長、アメリカ合衆国サッカー連盟(USSF)シンディー・パーロー・コーン会長、ノルウェーサッカー協会(NFF)のリーゼ・クラヴネス会長、タークス・カイコス諸島サッカー協会のソニア・ビーン・エイメ会長、ベルギーサッカー協会(KBFV)のパスカル・ファン・ダンメ会長、バハマサッカー協会(BAH)のアーニャ・ジェームス会長の6人の女性会長がおり、ラムサム氏は世界で7人目の女性会長ということになる。

 当選を受けたラムサム氏は「昨夜は眠れないほど嬉しかったです。まずは投票していただいたFAT会員に皆様に心より感謝を申し上げます。FATはいくつかの問題に直面していますが、チームで一丸となって対処してまいります」と語った。

 タイ代表では、2023年11月に元鹿島アントラーズ(2015-2017)の石井正忠監督が就任。以後、2024年始に開催されたアジアカップでベスト16に進出するなど躍進している。先日発表されたFIFAランキングでも大きく順位を上げて、101位にランクアップ。6年以上も東南アジア首位の座に居座っていたベトナム(105位)を蹴落として、東南アジアトップに返り咲いた。

 なお、2月初めに会長選がある関係で石井監督は当初3か月の短期契約だったが、石井監督を高く評価するラムサム氏が当選したこと、そしてタイ代表がアジアカップで躍進したことで、FATは石井監督との間で新たに2年契約を結んだ。