約100年の歴史を有する福岡県宗像市の老舗建具店・時安建具店は、事業後継者であるアトツギを対象に、ホンモノの商品開発を目指す福岡県のプログラムISSINの支援のもと、4代目若手職人が日本の伝統工芸である組子を用いた「組子マグコースター」を開発した。
伝統工芸・組子細工×マグネットの融合で、今までにないような新感覚で贅沢な逸品に仕上がったマグコースターを、2月15日(木)から販売を開始した。
日本の伝統工芸を身近に感じられる組子コースター
「組子マグコースター」は、日本家屋の障子やふすまに使われている伝統的な組子の技術を凝縮して作られたコースターだ。組子の潔くまっすぐな線に、狂いなくピシッと揃った角。その佇まいからは、日本的な美意識を感じずにはいられない。
同コースターは、機能面でも秀逸。磁石内臓で組子を引っ付けて広がる機能で、1枚のときはコースターとして、小皿を引っ付ければお茶請けに。また、3枚並べて花瓶を飾れるほか、贅沢に4枚使いすることで大ぶりな花瓶や急須を映えさせる舞台として活躍してくれる。
組子にマグネットを内蔵しているので、組子の外見を損ねることなく、マグネットの性能を最大限に生かす商品に仕上がった。
組子はシンプルな仕上げの小皿のデザイン。ライン使いされている6色の木材は全て本家組子で使われているもの。制作の中でどうしても発生してしまう端材を寄木のように集結させたもので、今の時代に合わせて環境にも配慮したSDGs設計だ。寄木には、同コースターを作るに当たって関わった全ての人のアイデア、意見を一つにという思いを込めている。
家業後継者の商品に対する想いと福岡からホンモノを世界へ
「組子マグコースター」を開発した、時安建具店4代目・時安将平さんは、その想いを「私自身は、家業を継ぐ気はありませんでした。しかし、祖父、父の仕事を手伝う機会が増え、建具職人という素晴らしさを実感しました。私もこの技術を習得し一人前の職人として社会で活躍したいと思うようになり、他の建具店で修行し、家業の後継者となりました」と述べる。
そして、建具職人として活動するうちに、自分で何かを生み出したいという思いが湧いてきたという。そんなとき、福岡から世界で勝てるホンモノの商品開発を目指すというワードを掲げる、福岡県主催のISSINアトツギ支援に特化したプログラムに参加した。
そのうえで「今回の商品開発に組子は、一昔前では当たり前に使われていた装飾です。しかし、新たに家を建てるときに組子を取り入れるかと言われると、ハードルの高い代物です。時代の変移の中で私たちの技術が失われるのはもったいない。日々の暮らしの中で組子を知ってほしいと考えた末、組子マグコースターを開発しました。」と語る。
誰もが残さなければならないと理解しながら、後継者不足が原因で途絶えていく日本の伝統工芸。日本の伝統文化である組子を身近に楽しんでもらいたいという想いから生まれた組子細工の新しい形「組子マグコースター」で、日常に日本美を取り入れてみてはいかがだろう。
組子マグコースター
価格:5,610円(税込)~
出品期間:2月15日(木)~4月1日(月)
(高野晃彰)