パウエルFRB議長を始めFedが注目する住宅を除くコアサービス(住宅を除く)も前年同月比4.4%と、2023年9月の3.7%から4カ月連続で前月を上回りました。

チャート:粘着CPI、住宅を除けば減速が鮮明

cpi24jan_atl (出所:Street Insights)

チャート:Fedが注目するコアサービス(住宅を除く)、4カ月連続で前年同月比で加速

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チャート:住宅関連のCPI、前年同月比で鈍化トレンドを確認するものの…

cpi24jan_home (出所:Street Insights)

CPIは市場予想を上回ったとはいえ前年同月比で鈍化した結果、実質の平均時給は伸びを広げました。実質平均時給は前年同月比1.4%上昇し前月の1.0%を超え、ただし9カ月連続でプラス圏を確保した中で最も強い伸びとなっています。生産労働者・非管理職は1.8%上昇し前月の1.4%超え、6カ月ぶりの高い伸びでした。

チャート:実質賃金の下落を続けたものの、下げ幅は縮小

cpi24jan_rwage (出所:Street Insights)

イエレン財務長官は、米1月CPIが市場予想比で上振れしたものの「米国はインフレ退治で大きな進展を遂げた」と発言。また「全体的なインフレ率はピーク時から約3分の2低下した」と述べ、特に食品や航空運賃の伸び鈍化を強調しました。Fed番記者として有名なウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のニック・ティミラオス記者も、X(旧ツイッター)で、「Fedが注目するPCEは、過去2カ月にわたりCPIを下回っており、1月のPCEもCPI以下となる見通し」とインフレの鈍化傾向をアピールしています。加えて、1月のコアCPIの上振れについて「コアCPIは、年初の値上げによって一時的に押し上げられる処方薬や自動車保険、タバコ、医療サービスのカテゴリーが寄与した可能性」を指摘。つまり、Fedの次の一手が利下げである方向に変わりはないと示唆しています。

ジャネット・イエレン長官 SNSより

ただ、米1月生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇し5カ月ぶりの強い伸びだったほか、米1月輸入物価も同0.8%と燃料価格の伸びを反映し2022年8月以来の大幅な伸びでした。それぞれ、前年比でも鈍化ペースがゆるんできたようにみえます。

チャート:米物価動向、鈍化トレンドは一服か

cpi24jan_ppiip (出所:Street Insights)

一連の結果を受け、一部で今年のサプライズは「年内のFedの利下げなし」との思惑が広がってきました。ただ、米1月小売売上高の予想以上の落ち込みを示しており、バイデン政権メンバーからもインフレ鈍化を強調する声が聞かれる状況。従って、Fedが利下げ方向にある状況に変更なしと言えるでしょう。

編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2024年2月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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