自分が加入している生命保険について、保障内容や目的などを説明できる人は非常に少ないのではないだろうか。死亡保険、医療保険の違い程度なら知っていても、定期保険、養老保険がどのような保険なのかまでは知らないことが多い。ここでは、全15社の生命保険を徹底比較し、種類ごとにランキングで紹介する。あなたの目的にピッタリの保険を見つける一助にしてほしい。 (2020年11月27日編集部一部加筆)

生命保険の基本は3種類

生命保険にはいろいろな種類があって「難しい」と捉えている人がいるかもしれないが、実は生命保険の柱は「定期保険」「養老保険」「終身保険」の3種類だけである。まず、この3つの種類について特徴などを確認しよう。

定期保険

定期保険とは、一定の期間だけに保障される種類のもので、保険期間が終了すれば同時に保障も終了する。保険期間は、5年、10年、20年など年単位で加入期間を決めるものと、60歳、65歳など年齢単位で期間を決めるものがある。

定期保険は、基本的に保険料が「掛け捨て」になるが、その分保険料が低く抑えられるというメリットがある。また、保障内容はシンプルな仕組みで理解しやすい。死亡保障1000万円・10年期間なら保険料が○○円といった感じだ。

将来、保険の見直しをしたい時期がきたときに、変更しやすいということもポイントだろう。「死亡保障をもっと手厚くしたい」など万一のときの備えとして、少ない掛金で大きな保障が付けられる定期保険は、家計を支える度合いが高い世帯主などが、さらに保障を増やしたいときにおすすめである。

定期保険で注意しておきたい点は、5年、10年など期間ごとの更新型の場合「更新のたびに保険料が上がる」ということだ。更新型以外では、ある程度まとまった長い期間で保障する全期間型がある。

40歳から70歳までの30年間の保障で考えた場合、最初に30年間の全期間型で加入すれば、30年間保険料は変わらない。しかし、10年ごとの更新型で加入すれば、更新時の年齢で保険料が計算されるため、当初の保険料よりも高くなってしまうケースが多い。

結果的には、全期間型よりも更新型のほうがトータルで支払う保険料が増えてしまうことになるため、老後まで長い期間加入しておきたいと考えているなら、全期間型のほうがよいだろう。

養老保険

養老保険とは、満期までの一定期間の中で、死亡したり高度障害になったりしたときには保険金を受け取ることができて、保険の満期を迎えたときには満期保険金を受け取ることができる保険である。

若年から中年のころには、万一の事態に備える保障という安心感があり、何事もなければ満期にある程度の資金となることがメリットだ。

「保障」と「貯蓄」の両方を兼ね備えるという点で、若いときから養老保険に加入している人も少なくない。ただし、貯蓄部分も含むことで、保険料としては定期保険と比べて高くなる。

養老保険は、解約返戻金がほかの保険種類と比べて多い傾向がある。また、解約返戻金の範囲内で一定の貸付も可能だ。貸付金には利息もかかるが、急にまとまったお金が必要になったときなどに有効に利用することができるだろう。

終身保険

終身保険は、死亡するまで一生涯の保障が続く保険である。保険期間や年齢に関係なく、何歳で死亡したとしても保険金が支払われ、保険を解約するときには、解約返戻金があり、老後資金としても活用することが可能だ。

高齢化社会になりつつある近年では、老後の生活資金をどのように準備するかは、非常に気になるところ。また、自分が死亡したときの葬儀費用や税金など、残された家族に負担をかけたくないと考えている人もいるはずだ。終身保険なら、そのどちらのケースにも備えておくことができるのがメリットの1つといえる。

年齢を重ねるほど、老後の保障や資金の備えとして利用価値の高い保険であることが実感できるかもしれない。

その他の生命保険も比較

生命保険は定期保険・養老保険・終身保険以外にもさまざまな種類がある。ここでは、そのほかの生命保険について解説していく。

収入保障保険

収入保障保険とは被保険者が定められた期間内に死亡する、あるいは高度の障害状態になった場合に保険金を受け取れる保険である。毎月10万円や15万円など、一定額の保険金を受け取れるため、被保険者の収入がなくなった場合に不足分を補えることが可能だ。

保証内容が定期保険と似ているが、保険料が異なることが特徴である。定期保険の死亡保障額は保険を契約している期間中において一定額であるのに対し、収入保障保険は契約期間の満了に向かうにつれて、徐々に死亡保障額が減少していく。そのため、収入保障保険の保険料は徐々に低くなる。

被保険者の年齢が上がると死亡や高度の障害状態になるリスクが増えるので、定期保険などの保険料も高額になる。だが、収入保障保険では老後のリスクにおける必要保障額をおさえて、さらに掛け捨てタイプにすることで、保険料を低くおさえられることがメリットだ。保障額が少なくなっていく保険は不安に感じるかもしれないが、ライフステージが進むにつれて、子供の養育費が増加したり、ローンの返済額も徐々にふくらむもの。よって、保険料が徐々に下がる保険は理にかなっているといえるはずだ。

医療保険

医療保険とは病気やケガで入院や手術をした際に、入院給付金や手術給付金を受け取れる保険だ。医療費の中でも自己負担しなければならないものや、交通費、差額ベッド代、さらに休職による減少した収入を補填することを目的としている。また、健康保険の適用外である先進医療の技術料を補う特約も注目されている。

医療保険には10年間、20年間などの期間が定められた「定期型」と、一生涯に渡り保障が受けられる「終身型」の2種類がある。定期型は契約期間内においては保険料を安くおさえられるが、契約期間が終了した場合、更新する際には保険料が上がるというデメリットが挙げられる。一方で、終身型は退職した後も生涯に渡り保障を受けられるが、保険料は高額である。

定期型と終身型にはどちらもメリット・デメリットがあるため、自身が保険に加入する目的などを考えた上で選ぶとよいはずだ。

女性保険

女性保険とは、乳がんや子宮がんなど女性特有の病気やがんなどの保障を通常の医療保険に加えた保険である。保険料は通常の医療保険に比べると高額になるが、女性ならではの症状に手厚い保証内容が用意されている。女性は男性よりもがんの罹患年齢が早いため、女性保険の加入は早めに検討するべきだろう。

医療保険と同様に契約期間が定められた定期型と、一生涯を保証する終身型がある。また、契約してから一定期間が経過するとボーナスとして一時金が受け取れる商品や、女性ならではの問題を相談できる窓口が備わっている商品など、女性に手厚い保険もある。

がん保険

がん保険とは保証内容ががんに特化した保険だ。主な保証内容として以下4つが挙げられる。

  • 診断給付金:診断結果ががんであった場合に一時金として給付される
  • 入院給付金:がんで入院した際に給付される。日数は無制限
  • 通院給付金:がんの治療で通院した際に給付される
  • 手術給付金:がんの手術をした際に給付される

    保険会社によって、これらの保証内容の組み合わせが異なったり、さらに特約を付加したがん保険などが提供されたりしている。そして、がん保険はがん以外の病気やケガに対する保障がないため、医療保険にがん保険を加えることが多い。

    がん保険の特徴として、支払限度日数が無制限であることが挙げられる。通常の医療保険であれば、60日型・120日型など支払限度の日数が設定されている。よって、設定された日数を越えた入院給付金は支給されない。だが、がん保険は1回の入院における支払限度日数が設定されていないので、入院した日数分の入院給付金を受け取れるのだ。また、通算の支払限度日数も無制限であるため、入院した分だけ入院給付金が給付される。

    ただし、がん保険には契約を開始して保障が開始されるまでの待機期間がある。通常の医療保険であれば以下3つの手続きが済むと完了だ。

  • 契約の申込み
  • 告知または審査
  • 第1回保険料の払込

    しかし、がん保険は上記の手続きが完了して、さらに90日間待機しなければならない。この待機期間の間にがんと診断されると、保険の契約は無効になる。さらに、がんで入院した際にも保証の対象とならない可能性があるので注意したい。なお、待機期間のないがん保険もあるため、加入を検討する歳にはよく確認して検討してほしい。

介護保険

介護保険とは公的介護保険制度や保険会社が定めた介護状態と認定された場合に、一時金や年金が給付される保険である。2000年より公的介護保険制度が導入されて、40歳以上であれば被保険者となり、介護保険料を納められる。そして、要介護と認定を受けると介護費用の一部を支払うことで、介護サービスを受けられるようになった。

だが、介護サービスの費用における自己負担額は少なくない。よって、老後の介護費用を備えるために、特に60歳代からのセカンドライフ世代が加入を検討することが多い。介護保険は医療保険の特約で付加できるので、自身の年齢や生活状況にあわせて加入を検討するとよいだろう。

個人年金保険

個人年金保険とは加入時に定めた年齢に達すると年金が給付される保険だ。自身のライフプランにあわせて、以下3種類の受け取り方から選択できる。

  • 確定年金
  • 有期年金
  • 終身年金

    「確定年金」は契約時に設定した一定期間に年金が給付されるもの。被保険者が死亡した場合でも年金を受け取れる。また、死亡した場合は残りの期間分の年金、あるいは一時金として受け取ることが可能だ。「有期年金」は確定年金と同様に、契約時に設定した10年や15年など、一定期間に年金が給付される。ただし、被保険者が死亡した場合、年金が受け取れないことが確定年金と異なる点だ。「終身年金」は被保険者が死亡するまでの期間、年金が給付される。

    また、個人年金保険は一時金としても受け取れるため、基礎年金や厚生年金などの公的年金だけでは生活費が不足してしまう家計には有効な保険だろう。ただし、家計の状況次第ではほかの手段が効果的な場合も。例えば、銀行の定期預金などを活用したほうがよいこともあるので、老後のシミュレーションを行いながら加入を検討するとよいはずだ。

学資保険

学資保険とは子供の進学に必要な教育資金を備えるための保険だ。子供が入学・進学する時期に祝い金や満期金が給付される。毎月の保険料に加えて積立金を準備できるため、計画的に教育資金を準備できることがメリットだ。

学資保険には死亡保険の役割もある。学資保険の契約者である親が死亡した場合、それ以降の保険料を払い込む必要がない。さらに、保険の契約は継続されて祝い金や満期金も給付されるのだ。貯蓄で教育資金を準備する場合、万が一、親が死亡すると、残された家族に負担が大きくなるだろう。学資保険は死亡保険の役割も兼ね備えていることが特徴である。

なお、学資保険を契約できる時期は子供が小学校に入学するまでに限られていることが多い。反対に学資保険に加入できるタイミングは、子供が生まれる前でも可能だ。子供の年齢が上がるにつれて保険料の負担額も増加するため、子供の年齢が若いときに加入することがおすすめである。

持病がある方向けの生命保険も

持病がある方向けの生命保険には主に以下2つの種類がある。

  • 引受基準緩和型保険
  • 無選択型保険

    それぞれを解説していこう。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型保険とは持病がある方や入院した経験がある方でも加入しやすい保険である。保険に加入できる条件が緩和されているため、保険の種類にもよるが以下3つの質問にすべて該当しなければ申し込みが可能だ。

  • 過去3カ月以内に入院、手術、検査を医師からすすめられた
  • 過去2年以内に病気やケガによる入院、手術をした経験がある
  • 過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物、肝硬変、総合失調症、認知症、アルコール依存症により医師の診断、検査、治療、投薬をうけた

    さらに、死亡保障の特約を付加できる引受基準緩和型保険もあるため、通常の生命保険に加入できない方は検討してほしい。

無選択型保険

通常の生命保険に加入する場合、健康状態の告知や医師による検査が必要だ。だが、無選択型保険はこのような告知や検査がなくても契約できる保険である。ただし、終身型の場合に契約から2年以内に死亡すると、保険金は給付されずに保険料の払込相当額が支払われるなどの制限があることに注意したい。

また、上記2つの生命保険には「保険料が通常の保険よりも高額になる」「保険に加入後、1年間は保障額が半額になる」などもデメリットもあるため、加入する際には条件などをよく確認しよう。

保障を手厚くできる生命保険の特約とは?

生命保険は「主契約」と「特約」の2つから成り立っている。主契約は生命保険の基礎となる契約内容で、特約は主契約に付加できる部分だ。

主な特約の種類は以下のとおりである。

  • 死亡保障を付加する特約
  • ケガ、病気を保障する特約
  • リビングニーズ特約
  • 払込免除特約 1つずつ簡単に説明していこう。

死亡保障を付加する特約

死亡保障を付加する特約は生命保険の被保険者が死亡した場合、または高度の障害状態になった場合に保険金が給付される。

死亡保障を付加する特約の種類は以下のように、さまざまあるため、自身に適した特約を選択するようにしたい。

  • 定期保険特約
  • 終身保険特約
  • 収入保障特約
  • 逓減定期保険特約
  • 三大疾病保険特約
  • 災害死亡割増特約
  • 傷害特約

ケガ、病気を保障する特約

生命保険の被保険者がケガや病気になった場合に、保障される特約である。

ケガ、病気を保障する特約は以下のとおりだ。

  • 災害入院特約
  • 疾病入院特約
  • 手術特約
  • 通院特約
  • 先進医療特約
  • 生活習慣病入院特約
  • 女性疾病入院特約
  • 特定損傷特約

    女性特有の病気を保証する特約もあるので、必要に応じて生命保険に上乗せするとよいだろう。

リビングニーズ特約

リビングニーズ特約とは「余命6カ月以内」と医師から診断された際に、死亡した場合に支払われる保険金の一部、または全額を受け取れる特約である。生命保険に無料で付加させることが可能で、余命6カ月になった原因としてすべての病気・ケガが対象になる。もし、診断された余命よりも長く生存した場合でも、保険金を返金する必要がない。なお、保険金の限度額は保険会社や商品によって異なる。

払込免除特約

払込免除特約とは三大疾病など保険会社が定める所定の条件に該当した場合、それ以降の保険料が免除させる特約だ。がんと初めて診断された際や、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になった場合に適用される。保険会社によっては三大疾病以外の条件で払込免除特約が適用される場合もあるため、それぞれの条件を確認してほしい。

ただし、上記のような特約を付加すると保険料が割高になるため、自身の経済状況などにより必要な特約を選ぶように注意が必要だ。

保険のタイプは2種類

上述では、生命保険の種類や特約について紹介したが、ここからは「貯蓄型保険」「掛け捨て型保険」という保険のタイプについて確認していこう。

貯蓄型保険

貯蓄型保険とは、保障という保険の部分と、貯蓄という預金の部分の両方を併せ持つ保険のことである。保険料を支払いながら、その一部は貯蓄として積み立てているイメージだ。

貯蓄性を持っているため、保険期間が満了したときには満期保険金を受け取ることができたり、途中解約したときには、解約返戻金を受け取ったりできるものがある。また、10年ごとなど、ある一定の期間まで保険に加入し続けることで、一時金のようにお金を受け取ることができるものもある。

主な貯蓄型保険は、「終身保険」や「養老保険」「学資保険」「個人年金保険」などだ。それぞれ目的の違う保険商品であるため、しっかりと理解して選択してほしい。

掛け捨て型保険

掛け捨て型保険とは、払い込む保険料が解約時にごくわずか、もしくは全く戻らない保険のことだ。貯蓄部分がないため、その分保険料が低く抑えられるメリットがある。

主な掛け捨て型保険は、「定期保険」や「収入保障保険」「医療保険」「がん保険」など。少ない保険料で大きな保障を得ることができる掛け捨て型は、子供が独立するまでの万が一の事態に備えるなど、賢く活用していきたい。

貯蓄型と掛け捨て型はどちらがいいの?

貯蓄型も掛け捨て型も、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらかに偏って選択することは難しい。

貯蓄型と掛け捨て型の両方を組み合わせながら将来的な資金に利用するのか、一時的に大きな保障を期待するのかなど、目的をしっかりと整理して選ぶことがおすすめだ。

生命保険に加入するメリット

ここでは、生命保険に加入するメリットを解説していこう。

所得税と住民税の負担が軽減される

メリットの1つ目は「所得税と住民税の負担が軽減される」ことだ。生命保険の払込料金における1年間分の一定額が、所得税と住民税の対象となる加入者の所得から控除される。この制度を「生命保険料控除制度」と呼ぶ。

また、生命保険料控除制度は2012年に改正されており、最大控除額が12万円まで拡大されている。自身の契約内容が旧制度または新制度のどちらなのか確認するとよいだろう。

相続税の対策ができる

メリットの2つ目は「相続税の対策ができる」ことだ。まず、生命保険の契約者と死亡保険金の受取人の関係性によって、死亡保険金は相続税・所得税・贈与税のうち、いずれかの課税対象となることをおさえておきたい。

税金の種類が異なる関係性は以下のとおりだ。

  • 契約者夫、被保険者:夫、受取人:妻または子供→相続税
  • 契約者夫、被保険者:妻、受取人:夫→所得税
  • 契約者夫、被保険者:妻、受取人:子供→贈与税

    そして、相続税・所得税・贈与税にはいずれも非課税限度額や控除額がある。相続税は以下の計算式で求められる基礎控除を超えると、課税の対象となるのだ。

  • 3000万円+600万円×法定相続人の人数

    だが、生命保険は死亡保険金の相続であれば、以下の計算式で求められる金額まで非課税となる。

  • 500万円×法定相続人の人数

    このように非課税枠を増やすことで、相続税の対策ができるのだ。

所得税がかかる保険金では利息分が50万円までは課税されない

メリットの3つ目は「所得税がかかる保険では利息分が50万円までは課税されない」ことだ。生命保険は満期を迎えたり、解約したりした場合の満期金・解約払戻金が課税対象となることもある。さらに、契約者と受取人が同じ場合は所得税が課される。また、保険金を一括受け取りにした際には一時所得に、年金受取にすると雑所得になる。

ただし、一時所得は最高50万円まで非課税となる特別控除があることがメリットだ。しかし、年金受取には一時所得のような特別控除がないことに注意したい。

生命保険に加入するデメリット

次に、生命保険に加入するデメリットを説明していこう。

インフレに対応できない

インフレとは物価が上がり、お金の価値が下がることだ。特定のモノにおける値段が上がる状態ではなく、市場全体で物価が上がる状態である。インフレは高度経済成長時代の日本でみられた減少で、好景気になると発生しやすくなる。

生命保険の総支払保険料は契約時の予定率によって決定する。さらに、総支払保険料は契約終了までは変わらない。そのため、生命保険に加入した後にインフレが発生すると、資産価値が下がってしまうことがデメリットとして挙げられるだろう。

生命保険がインフレに対応できない対策として、インフレに強い金融商品にも投資を行うことが有効になるはずだ。

貯蓄型の生命保険をすぐに解約すると戻り率は少ない

貯蓄型の生命保険を解約すると、保険料の一部が返金される。この返金分を解約返戻金と呼ぶ。ただし解約返戻金は、それまでに支払った保険料よりも少なくなることがほとんどだ。また、生命保険を契約してから解約までの期間が短くなるほど、解約返戻金も少額になる。そのため、元本割れのリスクも生じてしまう。

生命保険の選び方

続いて、生命保険の選び方を紹介していく。まず、生命保険を選ぶ際には「掛け捨て型」「貯蓄型」の2種類から選ばなければならない。「掛け捨て型」は払い込んだ保険料が戻ってこない生命保険のタイプだ。保険期間は決められた期間で設定されることが多い。一定期間の保証内容になるため、貯蓄型よりも保険料が割安になることがメリットとして挙げられる。しかし、契約期間の満期に達しても満期金や、解約した際の解約返戻金が受け取れないことがデメリットだろう。

「貯蓄型」は支払った保険料がそのまま資産として積み立てられるので、資産形成の役割も果たす。ただし、掛け捨て型よりも保険料が高額になることがほとんどだ。しかし、保険期間が一生涯続くタイプもあるため、契約者が亡くなった場合の保障を受けられたり、満期を迎えた場合の満期保険金が受け取れたりすることがメリットだ。

「掛け捨て型」と「貯蓄型」にはどちらもメリット・デメリットがある。そのため、自身に適した方を選択しよう。

死亡後に必要な費用はどのくらい?

生命保険を契約する際に、保証内容をよくしたり受け取れる給付金を高く設定したりすると、万が一のリスクに備えられる反面、毎月の保険料が高額になる。高額な保険料を支払える経済状況であれば問題ないが、すべての方は当てはまらないはずだ。よって、死亡後に必要な費用を計算する必要がある。

その場合、死亡時と入院時における必要保障額を計算するとよいだろう。

死亡時の必要保障額は以下の式で求められる。

  • 必要保障額=遺された家族への収入−遺された家族の支出

    遺された家族への収入における内訳は主に「遺族年金」や「勤務先の福利厚生(死亡退職金など)」などが挙げられる。また、遺された家族の支出は「生活費」「葬儀代」「住宅ローン」などだ。

    それぞれの収入・支出をシミュレーションして、必要保障額を求めよう。そして、その必要保障額に応じて保険金を設定するとよいはずだ。

    次に、入院時の必要保障額は以下の式で求められる。

  • 必要保障額=入院時の収入−入院時の支出

    入院時の収入における内訳は「高額療養費制度に適用された返還金」「傷病手当金」や、会社員の場合、「入院見舞金などの福利厚生」が挙げられる。また、入院時の支出として「先進医療費」「入院時の差額ベッド代」などだ。長期入院した場合は、入院した方の収入が減少することも考慮するとよいだろう。

    そして、死亡時と同様に収入・支出をシミュレーションして、必要保障額を求めよう。

必要保障額を減らす方法は?

必要保障額を計算する際には契約者の給与所得や年金を考慮すると、必要保障額を減らすことが可能だ。

主な項目は以下のとおりである。

  • 遺族の給与所得
  • 遺族年金
  • 老齢年金
  • 死亡退職金、弔慰金

    これらの金額を予想して必要保障額を減らすことで、適した保険金を設定できるはずだ。

保障はいつまで必要?

生命保険にはさまざまな種類があるため、自身の経済状況やライフスタイルにあわせて選ばなければならない。例えば、契約者に子供がいる場合、子供が成長するにつれて教育費用が少なくなる。また、老後は年金だけで生活できる可能性も。そのため、必要保障額は歳を重ねるにつれて減少することが一般的だ。

よって、生命保険を契約した後も定期的に契約内容を見直して、保障額を減らすことが有効になるだろう。

生命保険(定期)ランキング

順位 1位 2位 3位 4位 5位
保険会社 ライフネット生命 SBI生命 アクサダイレクト生命 オリックス生命 メディケア生命
商品名 かぞくへの保険 クリック定期!Neo アクサダイレクトの定期保険2 定期保険Bridge(ブリッジ) メディフィット定期
契約可能年齢 20歳~70歳 20歳~69歳 20歳~69歳 20歳~65歳 20歳~70歳
保険金額 500万~1億円 300万円~1億円 500万円~4000万円 500万円~3000万円 300万円~3000万円
保険期間 【年満了】
10年、20年、30年
【歳満了】
65歳、80歳、90歳
【年満了】
10年、15年、20年、25年、30年
【歳満了】
55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳
【年満了】
10年
【歳満了】
55歳、60歳、65歳、70歳
【年満了】
10年、15年、20年、25年、30年
【歳満了】
60歳、65歳、70歳、75歳、80歳
【年満了】
10年
【歳満了】
60歳、65歳、80歳
払込方法 月払 月払 月払 月払・半年払・年払 月払
払込経路 口座振替・クレジットカード 口座振替・クレジットカード 口座振替・クレジットカード 口座振替・クレジットカード 口座振替・クレジットカード
主な特約 - リビング・ニーズ特約
災害割増特約
傷害特約
リビング・ニーズ特約
災害割増特約
傷害特約
リビング・ニーズ特約
災害割増特約
傷害特約

生命保険を解約する際の5つの注意点

生命保険を解約するときには、どのようなことに注意しておけばいいか、ここでは解約時の5つのポイントについて紹介しよう。

短期間で保険を解約すると解約返戻金がごくわずか

解約返戻金がある生命保険であっても、加入したあと短期間で保険を解約してしまうと、返戻金はごくわずかしかない。貯蓄性がある終身保険や養老保険は、解約返戻金があることがメリットでもあるが、それなりの期間が経過しなければ、その恩恵を受けることはできない仕組みになっているのだ。

貯蓄型保険は、月々の保険料も割高に設定されているため、解約返戻金がわずかであれば、それだけ損をしてしまうことになるため、安易に解約をするのは控えたほうがよいだろう。

保険という保障がなくなってしまう

保険を解約すれば、同時に保障もなくなることを意味している。解約するときに健康面に心配ないと思っていても、保険の空白期間に、病気や不慮の事故に遭う可能性はゼロではない。万一の保障は、できるだけ途切れさせずに備えておいたほうが自分も家族も安心できるだろう。

再加入の場合は保険料が上がる

別の保険に加入する目的で、現在の保険を解約しようと考えている人もいるだろう。しかし、一般的に保険は「加入時の年齢」で計算される。そのため同じような保障内容でも、保険料が上がってしまうことがある。同じ会社の保険を解約して再加入する場合も同じことだ。

健康状態が悪化すれば保険に再加入できなくなる

生命保険に新しく加入するときには、一般的に「健康状態」を告知することになる。もし以前加入したときよりも健康状態が悪化していれば、新たに保険に加入することができない恐れがあるのだ。

持病があっても加入できる保険商品はあるが、保険料はかなり割高になってしまうことが多い。自分の健康状態も把握したうえで検討するようにしよう。

自動振替貸付にも注意する

自動振替貸付とは、加入者から一定期間保険料の払い込みがないときに、保険の失効を避けるため、解約返戻金の範囲内で保険会社が自動で立替払いをするものだ。

「貸付」とあることからわかるようにこれには利息がかかり、解約返戻金ももちろん減ってしまう。保険料の支払いが困難になった時点で加入状況を見直すか、保険会社に相談するべきだろう。

いざというときのために生命保険は必要

家族を持つ人も、独身の人も、当然のように生命保険に加入している人が多いことだろう。しかし、保険の種類や目的を理解している人は意外と少ない。

はじめて保険に加入するときには、右も左もわからず、営業員が勧めてくる保障内容でまとまることが多いが、20代、30代からでも、老後に向けてしっかりと自分の人生設計をしておき、その計画に沿った保険内容で加入することが理想的だ。

また、健康に不安を感じ始める40代で、家計を支える世帯主なら、万一のときの保障が足りているか、家族の分も含めて見直しするべきではないだろうか。

健康も家計もまだ不安要素がないときにこそ、いざというときに後悔することがないよう、しっかりと備えておくことをおすすめしたい。保険料の負担が家計を圧迫することがないように、保障と貯蓄のバランスをとりながら計画してみてはいかがだろうか。

文・ZUU online編集部/提供元・ZUU online

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