工期も大幅に短縮
プロジェクトの実現には、QRコードを開発したことで知られるデンソーウェーブの協力があった。
「当時、QRコードが世間的にも普及しており、読み取りが早く、誤り訂正も可能なことからこれを使えないかと思い、2015年にデンソーウェーブに声をかけました。その後、デンソーウェーブと共同で技術開発を進め、2017年に浅草線の大門駅でホームドア1開口を実際に設置し実証試験を行いました。1か月間の試験期間で、約4,500本の列車に対し100%ホームドアの開閉連動ができ、実用可能であることが確認できたことから、浅草線にQRコード方式のホームドアを採用することが決定されました。QRコードの活用を発案したのは、ホームドアの設置に関する技術的な検討を行う部署にいた職員です」(同)
都とデンソーウェーブはこの技術の特許をオープンにし、他の鉄道事業者が無償で使えるようにしており、京急や小田急電鉄などが取り入れている。QRコード方式の採用によって抑えられたのはコストだけでなく、工期も大幅な短縮となった。
「従来の車両改修をした場合の期間については、各社保有の車両の状況により異なりますが、1編成あたり数か月の期間が必要で、一度に改修できる数も限られることから、全ての車両を改修するのに10年以上の年数が必要と思われます。そもそも、改修自体が困難であったり、新造車に置き換えることが必要であったりしたことから、従来の方式で整備を行うことは現実的でなかったと考えています。QRコード方式はステッカーを貼り付けるだけですので、1編成当たり数時間、全体でも数日で済みます」(同)