そしてご案内のように、防衛で導入した生産資源を民需に転用しているわけですから、利益が薄くても旨味があがります。

今度の防衛省の利幅拡大というのは、努力して無くてもカネをあげるよという話であり、防衛産業の弱体化になります。農政と全く同じです。努力しなくてもカネがもらえるなら、誰が知恵を絞って技術革新をし、経営改善を行い、コスト削減の努力をしますか。

C-2やP-1、自衛隊向けヘリにしても、川崎重工の航空機は海外に売れません。調達コストが他国製品の3~4倍、維持費が5〜10倍で売れるわけがないでしょう。川崎重工は軍事見本市や航空ショーに出展していますが、売る売る詐欺です。そもそも売れないし、売買の意思決定者はブースにはいない。出展はあくまで防衛省に対するやっているフリアピールです。

陸自のUH-Xも内局や経産省も支援しており獲得が確実だったのに、まさかのスバルに取られました。これはオスプレイ導入のため安い機体がいいという話もありましが、基本川崎重工が、もう契約は取れたも同然的に説明に顔を出さなかったことも大きいです。これが日本のヘリ産業の最後のチャンスだったでしょう。「子供部屋おじさんヘリメーカー」3社体制が二社となり、川重がBK117に続くエアバスとのジョイントで、世界の軍民両に通用する手札が増える予定でしたが、それが潰えた。

川崎重工が内外のヘリ市場に果敢に挑戦する気配はなく、オリジナルの2〜3倍高く、稼働率も低い「ラインセンス生産」と称する組み立て製品を延々と防衛省に売りつけて、財政赤字を増やしています。これは利敵行為といってもいいでしょう。

潜水艦にしても、設計は三菱で漫然と作っているだけ。それでいてベンダーも抱えていますから、潜水艦の製造コストは高止まりです。本来事業統合すべきだがそれもできない。

世界の民間市場、軍隊や法執行機関にオートバイを売り、ATVも世界に売っていますが、軍用ATVを開発し市場に参入するつもりはない。陸自のオスプレイ搭載用のATVも納品したら搭載できなかったという有り様です。

ただただ防衛省に寄生して税金チュウチュウするしかない企業、それが川崎重工です。こういう企業は防衛調達から外すべきです。

編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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