自らの辞任により4月ないし5月に繰り上がった都知事選で、息のかかった人物を応援し当選させれば、後任となる都知事から、2期8年の都知事としての実績、果実を様々な形でプロモーションし持ち上げさせ、派手にアピールさせることも可能となり、政策通との好感度を高めることができるだろう。

7月頃からは、引続き無所属のまま、小池総裁待望論を固めてゆく。派閥が解体されたことで、水面下で、総裁選に必要な20人の推薦議員は簡単に集まる。次の衆院選に危機感を持つ議員は、場合によっては、自ら売り込んで来るだろう。「お名前は出せませんが、多くの自民党議員から、復党するなら応援するとのお言葉を頂いております」と言えば、マスコミは大騒ぎとなる。

こうして、待望論が高まれば、自民党に復党するための条件を、マスコミも巻き込みつつ、小池氏側から突きつけることができる。

例えば、公明党は、過去の経緯から復党に拒否反応を示すだろうが、これを逆に利用する。いわゆる統一協会に関する動きを見て、宗教法人への批判が高まるタイミングで、公明党との連立解消を自民党復党の条件としてコメントすれば、マスコミや世論は湧き立つであろう。そして、この連立解消は、国民民主や維新が、自民党との連立に向け、小池氏側になびくことにもなる。

小池総裁待望論には、自民党内から「造反」議員が出るだろうが、これも利用できる。2005年の小泉劇場を参考にするのだ。

小池氏は最初の都知事選出馬にあたり、反発する都議会に向けて、都議会を冒頭解散すると言う発言をし、地方自治法をきちんと理解してないのではないかと疑われたが、今回、首相候補ともなれば、解散カードをちらつかせることができる。

都民ファーストでプールした人材なども活用して、小池チルドレンの準備を始め、その動きをマスコミに取材させることで、造反議員に揺さぶりをかけることができる。マスコミ、特にテレビは、小泉劇場の際の映像を使い、おもしろおかしく報道するだろう。

こうした一連の動きは、風を読み、マスコミが飛びつく話題を提供する技を磨き込んだ小池氏なら、そう難しいことではない。小池氏への追い風が大きければ大きいほど、大衆受けする多くの注文を自民党につきつけ、復党し、総裁選を勝利することも可能ではないだろうか。

はたしてこのようなシナリオを懐に、小池氏が東京15区から出馬することは、あるだろうか?

中村 哲也 団体職員(建設分野)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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