素晴らしいアイデアがあるのだけどそれを実践するための資金がない、人や設備などを追加すれば業容を拡大できる自信はあるが投資余力がないなど、ビジネスを遂行する上で、お金の問題はついて回ります。

かつては銀行に融資を断られたらどうすることもできないといった状況もありました。しかし、現在は違っています。さまざまな資金調達の方法があるのです。その新しい金融形態の1つとして、クラウドファンディングがあります。このクラウドファンディングには、いくつかの種類があり、それぞれに資金調達の仕組みが異なります。そんなクラウドファンディングのいまを解説します。

クラウドファンディングの5つの形態

サッカー日本代表の長友佑都選手は、「コロナで苦しむ"ひとり親"へ支援を届けたい」と題した緊急企画を実施しました。ひとり親家庭への病児保育の無料提供、経済的に厳しい家庭へ食品配送と見守り支援を行う「こども宅食」など支援するものです。5月11日にクラウドファンディングを終了し、1,999人から5,001万3,730円の寄付を受けました。クラウドファンディングは幅広く社会から認知されてきているようです。

このクラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する仕組みです。資金を調達する仕組みの違いから、クラウドファンディングは寄付型、購入型、株式投資型、ファンド投資型、融資型の大きく5種類に分けられます。それぞれの特徴を挙げながら、使い方を比較してみましょう。

寄付型

不特定多数の人に寄付を募る方法です。寄付という仕組み上、調達した資金の返済はもちろん、何かを出資者に与える必要はありません。寄付型のクラウドファンディングは、社会貢献性の高いビジネスや活動で用いられるケースがほとんどです。長友選手の活動もこれにあたります。

購入型

出資してくれた人に対して、対価として商品やサービスを提供する仕組みです。一般的なビジネスでクラウドファンディングを実施する場合、多くの場合で購入型が選ばれます。

株式投資型

出資の対価として自社の株式を与える形のクラウドファンディングです。インターネット上でエンジェル投資家を募るイメージでの活用が多いと言われています。

ファンド投資型

ファンドとなる企業を通じて、投資家から資金を調達する方法です。対価として売り上げの一部を分配するのが一般的な運用方法です。

融資型(ソーシャルレンディング)

借り入れの形で不特定多数から資金を調達する方法であり、ソーシャルレンディングとも呼ばれます。借りたい人と貸したい人を結び付けるという金融のシンプルな仕組みを取り入れており、クラウドファンディングの中でも特に普及している仕組みです。

17世紀に、書籍の印刷にかかる費用の寄付を募ったことが起源と言われるクラウドファンディング。いま資金調達の新しい選択肢として、広く普及し始めています。

クラウドファンディングのメリットとリスク

では、どんな人がクラウドファンディングを上手に活用できるのでしょうか。そのメリットとリスクを把握しておきたいところです。

メリットとしては、何よりも従来の方法よりも手軽に資金調達できることです。インターネット上で全国の出資者に対して広く事業をアピールできるため、銀行や投資家を1社1社回るよりも手軽に資金調達できます。また、銀行や投資家が出資しないような小規模なビジネスでも、事業への共感を得られれば資金を調達できる可能性もあります。

一方、リスクとしては、インターネット上で事業プランを公表するため、アイデアを真似されてしまうことなどが挙げられます。資金力や経営資源がより豊富な企業に真似されたら、なかなか勝ち目はありません。

クラウドファンディングの事業者

実際にクラウドファンディングを実施する際は、専用のサービスを利用するのが一般的です。そこで、代表的なクラウドファンディングのサービスを3つ紹介しましょう。

Makuake

Makuakeは、2013年にサイバーエージェントの新規事業として始まったサービスです。購入型クラウドファンディングでは最大規模であり、中には1億円以上の資金調達に成功している事例もあります。

GoodMorning

GoodMorningは、CAMPFIREが立ち上げたサービスです。寄付型のクラウドファンディングのサービスとなっており、社会貢献や課題の解決型ビジネスで資金調達したい方におすすめです。

FUNDINNO

FUNDINNOは、2017年に国内初の株式投資型クラウドファンディングとして立ち上げられたサービスです。Makuakeがユニークなビジネス、GoodMorningが社会貢献性の高いビジネスを対象とする一方で、こちらは将来性や収益性の高いビジネスでの資金調達に適しています。

クラウドファンディングの活用法

クラウドファンディングの活用法はさまざまですが、最も一般的なのは新規事業の立ち上げに必要な資金の調達です。株式投資型、購入型、寄付型を使えば、返済不要の資金を調達できます。また、自社の知名度向上やテストマーケティングの一環として用いられるケースもあります。

クラウドファンディングの仕組みや種類を知っておけば、資金調達の選択肢が増えます。新しいビジネスを立ち上げる際などに、クラウドファンディングの利用を検討してみるのはいかがでしょう。

文・J PRIME編集部

提供元・JPRIME

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