(本記事は、のらえもん氏の著書『絶対に満足するマンション購入術 不動産のプロ達は大事なことを隠している!』廣済堂出版の中から一部を抜粋・編集しています)
Q.住宅ローンの頭金はどれくらいが適当ですか
住宅ローンは単なる借金ではなく金融商品と考えるべきです。
購入する部屋の担保を条件に、期間と金利と借入金額から、毎月払う返済額を決めます。
そしてこの返済額については、毎月きちんと払っている間なら、銀行から一括返済を求められることはありません。これを「期限の利益」と言います。
人生も会社の経営も一緒ですが、お金を借りる信用力は自己資本を増大させる手段です。この信用力を使ってお金を借りる場合は、「期間はできるだけ長く」「金利はできるだけ安く」「借入金はできるだけ多く」借りることが原則です。
住宅ローンは、日本国の政策上、個人が扱うことができる金融商品のなかで、最も有利にできています。購入金額の100%近くまで借りることができますし、金利は安く、期間も最大35年です。銀行から住宅ローンを借りるなら、団体信用生命保険料は金利に含まれていますので、残債金額と同額の生命保険を契約するのと同じです。
こうして考えると、頭金などは余計で、できるだけ多く借りるべきであることがわかります。むしろ頭金は投資に回すべきなのです。
銀行の立場からすれば貸出は多くしたいけど、貸し倒れリスクも考慮しなければならないため、頭金ゼロと頭金1割なら前者の金利を上げることになります。この場合は、1割の頭金を出して優遇金利をもらうメリットと、頭金ゼロの場合の追加金利によるコストを比較して、頭金を用意する必要もあるでしょう。
なお、諸費用程度の資金を用意できない人は、物件を買うべきではありません。諸費用を払ったうえで、自己資金が購入金額の1割程度あることはマストと考えます。この条件を満たしたうえで、現在の超低金利下においては、住宅ローン控除などの影響もあり、ローンは借りられるだけ借りて手元資金を厚くし、お金は投資に回したほうがいいというのが私の主張です。
Q.住宅ローンは変動にしますか、固定にしますか
住宅ローンは、変動金利、期間固定金利、全期間固定金利の3種類に分かれます。
金利の固定期間が長いほど表示金利は高くなります。これは将来、もし金利上昇が起こったときの保険だからです。また金利が低いほど元本の減りも早くなります。
ちなみに、期間固定は2年、3年、5年……と細かく設定できますが、各銀行間の競争が最も激しいのは「変動」と「10年固定」ですので、よほどの理由がないかぎり、「変動」「10年固定」「全期間固定」の3種類から選べばいいでしょう。
金利差による毎月の金額は以下のとおりです。
・借入金3000万円・35年元利均等返済の場合(執筆時点2020年2月の情報)
変動(0.5%) 毎月の返済額7万7875円
固定10年(0.8%) 毎月の返済額8万1918円 変動との差4043円
フラット35(1.28%) 毎月の返済額8万8656円 変動との差10781円
住宅ローンのこの特性を理解したうえで商品を選ぶべきです。
(1)10年以内の買い替えが前提
まず、10年以内に転勤や家族が増えることが予想でき、10年後の売却を念頭に置いているなら、それ以上の保険(11年目以降の固定分)は無駄ですから、変動か10年固定のローンを選ぶべきです。
銀行間の競争が最も激しい10年固定というジャンルは変動金利と差はかなり縮まり、約0.3%程度。1000万円につき月額1348円の差となります。
私なら、この先10年の支払額を確定させたいため固定10年にします。
もし、買い替えの目安が5~7年前後の短いスパンでしたら、迷わず変動です。しかし、銀行によっては2年、3年といった超短期固定の金利を、変動より優遇する場合もあります。ただし、基準金利が高くなる(固定期間終了後に高い金利になってしまう)などのデメリットもあり、その有利・不利は一概にいえないので、自分で計算してみてください。
(2)一度買ったら住み続けることが前提
永住志向であれば、「保険を掛ける必要がない人ほど変動」「生活の安定を取る人は全期間固定」とすみわけを考えましょう。生活に余裕があり、金利の変動に耐えられるなら固定と変動の差分を投資に回したほうがより効果的です。
金利の変動に耐えられない人ほど、固定にしたほうがいいでしょう。2020年2月現在、フラット35は、35年全期間固定で1.28%という破格の金利を提示しています。10年前の10年固定より安く、金利が上がる保険料と考えれば、魅力的に思えます。こちらを第1候補として検討してください。
のらえもん
湾岸タワーマンション在住のネット妖精。湾岸エリアの住宅情報や相場、マンション購入などを取り上げた湾岸不動産総合ブログ「マンション購入を真剣に考えるブログ」を2011年9月より運営し、徹底的に消費者目線に立った発信で人気に。無料で受け付けたマンション購入や売却の相談数は延べ700人を超える。著書に『本当に役立つマンション購入術~専門家は絶対に教えてくれない』(廣済堂新書)、『住んでみなければ絶対にわからないタワーマンションほんとの話』(三交社)がある。
文・ZUU online編集部、のらえもん/提供元・ZUU online
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