若い女性向けの即売型ファッションショー「TOKYO GIRLS COLLECTION」を運営しているW TOKYO(ダブリュートーキョー)が6月29日に東京証券取引所グロース市場に上場した。公開価格3000円に対して、公開価格と同じ3000円に差し引き約28万株の買い注文が殺到。結局初値は、売り方と買い方の株数が一致した7000円だった。その後、株価は一時7300円まで上昇したが5750円まで下げるシーンもあり、結局は6700円で初日の取り引きを終えている。2日目の6月30日は、初値7300円、高値7700円、安値6770円、終値6810円だった。
このW TOKYOだが、気になるのは今年6月に合わせて「業績を整えて来た」のではないかという感じがする点だ。コロナ禍もあって、2020年6月期は経常赤字が8640万円、当期純損失が1億6248万円、2021年6月期は、営業損失が2億1167万円、経常損失が2億210万円、当期純損失が2億1899万円、そしてやっと回復した2022年6月期は営業利益9395万円(黒字転換)、経常利益8792万円(黒字転換)、当期利益1億2895万円(黒字転換)。
簡単に言うと、昨年6月期にやっと黒字転換した企業なのだ。2022年というのも2022年3月に2年半ぶりの有観客開催になったばかりなのだ。「さあ、これから」という見方はあるだろうが、今回の7000円というとんでもない初値には不安がつきまとう。ファッション&アパレル企業に限らず、最近の新規上場企業は、上場後の2、3日が最高値でその後ズルズルと値を消してしまうケースがほとんどだ。昨年6月期に2年ぶりに黒字化した企業が公開価格の約2.3倍の初値というとんでもない高値を記録してしまって、「次は1万円の大台に必ず乗ります」という証券マンのセールストークに乗せられなければいいと思うが。そもそもこのW TOKYOの株を買っている一般投資家の皆さんは、「TOKYO GIRLS COLLECTION」なるものをTVでもいいが、一度でも見たことがあるのだろうか。そこが最大の問題点だ。
文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO
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