5位:大分トリニータ

主なOUT選手

  • DF上夷克典:サガン鳥栖へ完全移籍
  • FW藤本一輝:町田ゼルビアへ完全移籍
  • MF高畑奎汰:ジュビロ磐田へ完全移籍

主なIN選手

  • DF藤原優大:浦和レッズより期限付き移籍

2023シーズン、リーグ戦を9位で終えた大分トリニータ。前年よりも順位を落とし自動昇格圏のみならずプレーオフ圏も逃してしまったが、2024シーズンに向け、かつて大分をJ3からJ1復帰まで導いた片野坂知宏監督の復帰が決定。再びJ1へと戻るため、改めてその手腕に注目が集まる。しかし、この冬の移籍により陣容には不安を感じさせる要素もある。

まず、昨年6ゴールを挙げてチームトップスコアラーとなったFW藤本一輝が、J1昇格を果たした町田ゼルビアへ移籍。左サイドからの突破や背後を取る動き出しなど多くのチャンスに絡んでいただけに、流出の影響は大きい。また、DF上夷克典とMF高畑奎汰の2名も2024シーズンJ1を戦うクラブへ移籍している。サガン鳥栖へ個人昇格となった上夷は、昨年リーグ戦32試合に出場。守備はもちろん、右サイドからの正確なクロスでチャンスメイクにも一役買った。ジュビロ磐田へ加入の決まった高畑も、昨年38試合と多くの出場機会を得て躍動。4ゴール5アシストと多くのゴールにも絡み、まさに飛躍の1年だったと言えよう。3選手とも昨季の活躍を見れば、J1クラブや昇格を決め新たにJ1へ臨むクラブから声がかかって然るべきだ。

しかし、裏を返せば大分にとってそれだけチームの中枢を担う選手を手放してしまったことになる。新戦力としては、昨季町田のJ2優勝とJ1昇格に貢献したDF藤原優大など、ユースからの昇格も含めて複数の選手が加わっている。とはいえ、抜けた選手の果たした役割を考慮すれば、より即戦力が求められるだけに選手層ではやはり不安が残ることから、戦力ダウンが心配なクラブ5位とした。

ロアッソ熊本 写真:Getty Images

4位:ロアッソ熊本

主なOUT選手

  • MF平川怜:ジュビロ磐田へ完全移籍
  • MF島村拓弥:柏レイソルへ完全移籍

主なIN選手

  • FW神代慶人:ユースからトップ昇格

2022シーズンは、J3からの復帰初年度ながら4位でリーグ戦を終え、プレーオフも勝ち進み入れ替え戦では京都サンガを追い詰めたロアッソ熊本。そんな躍進の影響もあってか、2023シーズン開幕前にはストライカーFW髙橋利樹やゲームメーカーMF河原創ら多くの選手が移籍。厳しいシーズンを強いられたが、最終的には14位と中位で終えた。2024シーズンは再び上位を目指したいところだが、今冬も移籍市場では厳しい立場に置かれている。

主力では2022シーズンの夏以降、攻撃にリズムをもたらし得点源としても躍動していたMF平川怜が争奪戦の末、J1復帰を決めたジュビロ磐田へ移籍。加えて、昨年FC今治から加入し高い推進力を見せたMF島村拓弥も柏レイソルへ個人昇格を果たした。流出した主力の人数で見れば昨年ほどの衝撃こそないものの、2023シーズンにおけるチームへの貢献度と年齢的に、ここからさらなる成長が見込めることも踏まえると、大きな痛手と言わざるを得ない。

また、チームの核となる選手を失った一方で、新加入の選手たちは即戦力と言うよりもルーキーが多くなっている。楽しみな新戦力が多いことに変わりはないが、補強により平川、島村といった主力の穴を埋めたとは言い難いのが現状だ。とはいえ、ルーキーの活躍では昨年ジェフユナイテッド市原・千葉を6年ぶりのプレーオフ進出にまで導いたFW小森飛絢の例もある。2年連続で苦しい冬の移籍期間を過ごした熊本。ニューヒーロー誕生の期待もあるが、少数ながら中心選手をピンポイントで失ったことから戦力ダウンが心配なクラブ4位とした。