旭山動物園は、今や北海道を代表する人気スポットです。動物の生態を存分に生かした展示が人気を呼び、毎年多くの人が訪れています。冬はアザラシやホッキョクグマを始め、寒い地域に生息する動物たちが本来の姿を見せてくれます。またペンギンの散歩は冬期限定の特別プログラム。生き生きとした姿にワクワクが止まりません。

厳寒でも心を熱くさせる旭山動物園の楽しみ方を紹介します。
 

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

目次

旭川市のお荷物と言われた苦難の歴史

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

旭山動物園は1967年に開園しました。当初の動物は75種505匹。この中に鯉200匹も含まれており、小規模な動物園だったことが想像できます。旭川地区で数少ないレジャー施設であり、順調に入園者数を伸ばしていましたが、1983年をピークに減少に転じ、1994年にニシローランドゴリラとワオキツネザルがエキノコックス症で死亡したことにより営業期間切り上げを余儀なくされました。その後も低迷が続き、1996年の入園者数は最盛期の半分となる約26万人まで落ち込みました。

行動展示でドン底からV字回復

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

状況を打開すべく翌年に鳥が自由に飛び回る姿が見れる「ととりの村」をオープン。その後も「もうじゅう館」、「さる山」、「ぺんぎん館」など、次々と行動展示を取り入れて話題となりました。2006年、2007年は年間入園者数300万人以上を達成。ブームが落ち着いた現在も毎年140万人ほどの入園者数を誇っています。1999年から冬期営業を開始。一部の動物は室内展示に切り替わりますが、「寒さへっちゃら」「寒いの大好き」という動物たちは元気に動きまわっています。

ペンギンだからって寒いのが得意なわけじゃない!?

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

旭山動物園ではキングペンギン、キタジェンツーペンギン、ミナミイワトビペンギン、フンボルトペンギンの4種類のペンギンを飼育しています。

ペンギンは南極など極寒で暮らすイメージが強いですが、すべてが寒さに強いわけではありません。元気に泳ぎ回るキタジェンツーペンギンやミナミイワトビペンギンと違い、南米の西沿海岸地域で生息するフンボルトペンギンは寒さが苦手。冬は室内に引きこもっています。

ウォーキングで運動不足を解消! キングペンギンの行進

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

雪が積もる12月中旬から3月下旬にかけて「ペンギンの散歩」が行われます。

散歩しているのは世界で2番目に大きなキングペンギンで、冬になると動いたり泳いだりしなくなることから、運動不足解消のために行われています。その様子は王様というより通勤時のサラリーマンのよう。キングペンギンは内陸にコロニーという集団をつくり、そこから魚を求めて集団で海に向かっていきます。先頭を歩くのがリーダーかと思いきや、誰でもよいそうです。

園内に冬のオホーツク海を再現! アザラシプール

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

円柱水槽の中をアザラシが通り過ぎる「あざらし館」は、旭山動物園の名を全国に広めた施設の一つと呼べるでしょう。

北海道の漁港をイメージし、さまざまな角度からアザラシを観察できる仕組みが取り入れられています。北海道には5種類のアザラシが生息していて、旭山動物園では「ゴマフアザラシ」を多数飼育しています。
 

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

ゴマフアザラシは流氷と共にオホーツク海を南下して北海道にやってきます。流氷の上で出産して流氷が去る3月ぐらいに北へ戻っていきます。

旭山動物園ではアザラシのプールを凍らせて流氷を再現。氷の上で寝そべったり、穴から顔を出して魚を食べるなど、自然に近い環境で生き生きと過ごすアザラシを見ることができます。マイナス20度に冷え込むことが多い旭川らしいアイデアですね。

自慢の皮下脂肪で寒さへっちゃら! ホッキョクグマ館

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

北極周辺の氷上を生活圏とするホッキョクグマも冬が大好き。厳しい寒さに対応するために皮下脂肪が約10㎝もあり、凍えるような寒い日も水の中にダイブして泳ぎ回っています。

一般的にクマは食べ物が乏しい冬に巣ごもりをしますが、自然のホッキョクグマも海に氷が張らない7月から11月まで体温を下げて体の機能を遅くし、エネルギーの節約をしています。動物園で飼育されているホッキョクグマやヒグマは、一年中エサが与えられているので、季節によって動きが停滞することはありません。

希少性に気づいて! 日本では珍しいホッキョクギツネを飼育

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

ホッキョクギツネは、ほとんど興味を示してもらえない可哀そうな存在です。「動かない」「雪と同化している」「人気のレッサーパンダ舎が隣にある」などが注目されない理由でしょう。

極地に棲む動物は無駄なエネルギーを消費しないためにじっとしていることが多いので、動いている姿を見るには夕方のエサの時間が狙い目です。夏は灰色、冬は白い毛で覆われてとてもきれい。ホッキョクギツネを飼育しているのは旭山動物園をはじめ、宮城蔵王キツネ村などごくわずか。通り過ぎることなく姿を目に焼き付けてください。

雪像じゃないよ! 雪と同化したシロフクロウ

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(写真=たびこふれより引用)

シロフクロウも北極圏が生活エリアです。メスは黒や褐色の斑点があるのに対し、オスは真っ白な体をしています。

北極圏は白夜があるため、フクロウの中では珍しく日中でも活動しますが、ホッキョクギツネ同様、エネルギーの消費を抑えるためにほとんど動きません。体温保持のため足の裏まで羽毛で覆われているので、動きが見られたときは確かめてみてください。

冬は恋の季節! 繁殖期にさえずるレッサーパンダ

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(写真=たびこふれより引用)

中国南部からヒマラヤに生息するレッサーパンダも、夏より涼しい季節を好みます。

めったに鳴くことはありませんが、冬が繁殖期で「キュルル~」という声を聴くことができます。旭山動物園はレッサーパンダ舎と樹木に吊り橋がかけられているので、運が良ければ近くで恋のさえずりを聞くことができますよ。

英語名はスノーモンキー! 寒さに耐えるニホンザル

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(写真=たびこふれより引用)

サルの仲間のほとんどが熱帯に生息しており、世界的に見ても寒い地域で暮らすニホンザルは希少です。

旭川は生息北限と言われる青森県・下北半島よりも寒いですが、サルは全身の体毛でマイナス20度くらいまで耐えられると言われています。もっとも寒いより暖かい方が過ごしやすいようで、身体を寄せ合って寒さを凌いでいます。

シンリンオオカミの遠吠えが閉館を告げる

たびこふれ
(写真=たびこふれより引用)

閉館時間が近づくと蛍の光に合わせてシンリンオオカミが遠吠えを始めます。「動物園に来てくれてありがとう」とお礼を言っていると思うのは人間の身勝手。もしかしたら「とっとと帰れ」と言っているのかも知れませんよ。

まとめ

冬期開園期間は11月初旬から4月初旬まで。夏とは一味違う動物たちを見ることができます。ただし開園時間は夏期より2時間以上短いので、躍動的な動物たちを見ていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。見逃したくない動物やもぐもぐタイムなどをあらかじめ確認してから楽しんでください。

旭川市 旭山動物園