自動車保険は等級が上がるにつれて保険料の割引率も大きくなる仕組みです。等級が上がった自動車保険は、家族や他社の保険へ引き継ぎができます。新しく自動車を購入する際や新しい保険に乗り換える際に、この自動車保険の等級引き継ぎを利用することで、自動車保険料を安く抑えることが可能です。ここでは、自動車保険の引き継ぎ条件や引き継ぎ方法について、詳しく解説していきます。

自動車保険の等級の引き継ぎとは?
自動車保険の等級の引き継ぎとは?

自動車保険の等級の引き継ぎとは、条件を満たした家族間や新しい保険を契約する際に既存の保険の等級を引き継ぐ方法です。1等級から20等級まである自動車保険の引き継ぎを行うことで、新規で自動車保険に加入するよりも、保険料を安く抑えられるメリットがあります。

自動車保険の等級の引き継ぎが発生するケースは、以下の通りです。

上記をまとめると、等級の引継ぎは記名被保険者の配偶者か、同居する家族に限定されます。

初めて自動車保険を契約する際は6等級(割引率13%)からスタートしますが、20等級(無事故)の引き継ぎを行うと63%の割引率になります。

保険料が年間50,000円だった場合、6等級の保険料は56,500円ですが、20等級(無事故)の引き継ぎを行うと18,500円です。

自動車保険の等級引き継ぎの条件は「同居する家族」
自動車保険の等級引き継ぎの条件は「同居する家族」

自動車保険の等級引き継ぎの条件は、配偶者か同居する家族に限られます。

同居する家族の中でも引き継ぎの条件があるので、等級を引き継げるケースと引き継げないケースを紹介していきます。

同居中の家族や親子へ等級を引き継げる

自動車保険は、同居中の家族や親子間で等級を引き継ぎ可能です。この同居中の家族とは、記名被保険者の6親等以内の血族か、3親等以内の姻族に限定されます。

この家族や親子間での引き継ぎで大切なのが、記名被保険者と同居していることです。別居する予定がある際は、同居期間中に自動車保険の等級引き継ぎを行いましょう。

別居中の家族や親子には等級を引き継げない

家族や親子同士でも、別居してしまうと自動車保険の等級引き継ぎはできません。配偶者に限っては、別居していても等級引き継ぎの対象になります。

配偶者は内縁関係でも等級引き継ぎの対象になりますが、内縁関係を証明する書類が必要です。住民票などの公的書類を用意して、住所などから記名被保険者との内縁関係を証明することが大切です。

他の家族や親子関係は、別居すると自動車保険の等級引き継ぎができなくなります。

同居中の家族が死亡した場合でも等級を引き継げる

記名被保険者が亡くなってしまった場合でも、同居の家族や親子間で等級引き継ぎが可能です。自動車保険の等級も、遺産相続の対象になるためです。

自動車保険では、運転者を限定することで割引を大きくできるオプションがあります。亡くなった記名被保険者の等級を引き継ぐ際に、年齢制限などで保険対象外にならないように注意しましょう。

他社の自動車保険への等級の引き継ぎも可能
他社の自動車保険への等級の引き継ぎも可能

自動車保険は、他社への乗り換えの際に等級引き継ぎが可能です。他社の自動車保険へ等級を引き継ぐことで、新しく契約するよりも保険料の割引が大きくなり、お得になります。

代理店型同士だけでなく、代理店型とダイレクト型の間でも引き継ぎも可能です。他社へ等級を引き継ぐ際は、満期日に合わせて乗り換えたり契約途中での乗り換えも対象になります。

他社へ等級を引き継ぐ際は、期限があるので注意しましょう。他社へ等級を引き継ぐ際は、現在の自動車保険の契約満期日または解約日の翌日から、7日以内に新しい自動車保険が始まらないといけません。

他社の自動車保険に乗り換える際は、次の保険会社を選定してから手短に手続きを進めるようにしましょう。

自動車保険の等級を引き継ぎできないケース【注意点】
自動車保険の等級を引き継ぎできないケース【注意点】

自動車保険の等級は、引き継ぎができないケースもあります。

等級を引き継ぎできないと、保険料の割引を受けられなくなってしまいます。そのため、これから紹介するケースに該当していないか確認しておくことが大切です。

保険料の未払いや告知義務違反などで契約解除された場合

自動車保険の保険料の未払いや告知義務違反などの理由で契約解除された場合は、等級引き継ぎの対象外になります。自動車保険の契約そのものが解除されているので、新しく保険に加入する際は最初の等級から始めなければいけないためです。

せっかく上げた等級を引き継ぎできないのは大きなデメリットになるので、適切な告知と保険料の支払いを続けていきましょう。

前の保険を解約してから8日以上の空白期間がある場合

他社の自動車保険に乗り換える際に、8日以上の空白期間がある場合も等級引き継ぎができません。保険を乗り換える際は、新しく加入する保険会社とプランを選定してから解約することで、期限内に等級の引き継ぎができます。

等級引き継ぎを検討している場合は、新しい保険会社で等級引き継ぎに関するルールを確認してから手続きを進めることで、スムーズに等級を引き継ぎできるでしょう。

一部の共済では等級の引き継ぎができない

自動車保険には、保険会社の提供する保険と共済組合が提供する保険があります。一部の共済保険は、保険会社の保険に等級を引き継ぎできないので注意が必要です。

現在、共済組合の自動車保険に加入している場合は、他社の保険に等級が引き継ぎできるか事前に確認しましょう。共済組合の保険を解約してから他社へ等級引き継ぎができないと発覚すると、せっかく上げてきた等級が無駄になってしまいます。

自動車保険の等級の引き継ぎ方法|必要書類や手続き
自動車保険の等級の引き継ぎ方法|必要書類や手続き

自動車保険の等級を引き継ぎするためには、必要書類の準備や手続きが必要です。

今回は、家族間での引き継ぎ、車を買い替えての引き継ぎ、他社の自動車保険への引き継ぎ方法について解説していきます。

家族間で等級を引き継ぐ方法

家族間で自動車保険の等級を引き継ぐ際は、現在契約している保険の名義変更を行います。契約者と被保険者、必要に応じて車両所有者名を変更すると、家族間で等級を引き継ぎできます。

家族間で等級を引き継ぐ際は、以下の書類を用意しましょう。

上記の書類を揃えてから、保険会社に名義変更をしたいと電話をかけます。電話をかける際は、新しく契約する本人が電話をかける方がスムーズに手続きできます。

疑問点はそのままにせず、電話口の担当者に確認をしながら手続きを進めてください。

車を買い替えて等級を引き継ぐ方法

車を買い替えて等級を引き継ぐためには、車両入替の手続きが必要です。車両入替の手続きが終わる前に新しい車を運転してしまうと、万が一の事故の際に保障が受けられなくなるので注意してください。

車両入替に必要な書類は、以下の通りです。

新しい車を購入する日が決まったら、早いタイミングで保険会社に連絡して車両入替の手続きを開始します。一定の条件を満たすことで、納車日から30日以内に車両入替をすれば猶予期間内の事故にも保険適用できる可能性があります。

しかし、全ての保険会社で猶予期間の補償が受けられるわけではありません。車両入替の手続きは、できるだけ早めに済ませることが大切です。

他社の自動車保険に乗り換えて等級を引き継ぐ方法

他社の自動車保険に乗り換えて等級を引き継ぐためには、乗り換え手続きが必要です。現在契約している自動車保険が満期になった場合は自然解約になりますが、以下のケースでは解約の連絡をする必要があります。

他社への乗り換えに必要な書類は、以下の通りです。

前述の通り、新しい保険への加入が8日を過ぎてしまうと等級を引き継ぎできなくなります。必要書類を用意したら、解約日に注意しながら他社への乗り換えを進めましょう。

自動車保険を乗り換えて等級を引き継ぐ場合はタイミングに注意
自動車保険を乗り換えて等級を引き継ぐ場合はタイミングに注意

自動車保険を乗り換えて等級を引き継ぐ場合は、タイミングに注意しましょう。契約途中で保険会社を乗り換える場合、等級アップが遅れてしまう可能性があるためです。

契約途中で保険会社を乗り換える場合は、解約前の等級が引き継がれます。満期日を迎えてから乗り換えをすると、1等級上がった状態で等級を引き継ぎが可能です。

現在10等級の自動車保険を契約途中で乗り換えると、さらに1年間10等級のままですが、満期を迎えて11等級になってから乗り換えをすると、新しい保険でも11等級の割引を受けられます。

そのため、契約途中の等級引き継ぎは等級アップが遅れてしまう可能性があるのでデメリットです。自動車保険の満期日を確認して、満期日を迎えてから他社に乗り換えることをおすすめします。

自動車保険の中断証明書があれば解約後も等級を引き継ぎできる
自動車保険の中断証明書があれば解約後も等級を引き継ぎできる

自動車保険の等級引き継ぎは、8日以上経過してしまうと等級の引き継ぎができなくなると解説しました。長期間自動車を運転しなくなる場合、自動車を手放して中断証明証を発行しておくことで長期間等級を維持できます。

自動車保険の中断証明証について、詳しく解説していきます。

自動車保険を一時解約後、再開時に等級を引き継ぎできる

単身赴任や自動車の売却などで一定期間自動車を運転しなくなる場合、中断証明書を発行しておくことで再開時に等級を引き継ぎできます。中断証明書を発行するためには、自動車保険会社が定める条件を満たした場合に限ります。

具体的な条件は、以下の通りです。

上記のように、明らかに自動車を運転できないことを証明できると、中断証明書を発行してもらえます。中断証明書を発行すると、一定期間自動車保険を中断し、等級も据え置きのまま維持できる点がメリットです。

【注意】中断証明書の有効期間は10年以内

中断証明書の有効期限は、10年以内と定められています。その間は自動車保険の等級を維持できるので、一定期間自動車を運転しなくなる場合は保険会社に中断証明証の発行依頼をしましょう。

中断証明証を発行しないと、解約から8日以上経過すると等級を引き継ぎできなくなります。時間をかけて上げてきた自動車保険の等級を無駄にしないように、中断証明証は必ず発行しておいてください。

【参考】2台目以降は7等級からスタートできる「セカンドカー割引」
2台目以降は7等級からスタートできる「セカンドカー割引」

家族や子どもに自動車保険の等級を引き継いだ後は、新しく自動車保険に加入する必要があります。その際に、2台目以降は7等級からスタートできるセカンドカー割引がおすすめです。

新規で自動車保険を契約すると、通常6等級からのスタートになりますが、セカンドカー割引を使うと7等級からスタートできるので割引率が大きくなります。

セカンドカー割引を適用するための条件は、以下の通りです。

等級が1つ変わっただけと感じるかもしれませんが、6等級から7等級に上がると割引率が約2割増えます。少しでも安く保険料を抑えたいと考えている人は、セカンドカー割引を検討してみましょう。

自動車保険の等級引き継ぎで家族の保険料が安くなる!

自動車保険の等級引き継ぎは、家族の保険料を安くするおすすめの方法です。等級を引き継ぐことで、新しく保険を契約するよりも割引率が大きくなるためです。

2台目以降の自動車保険にはセカンドカー割引を適用することで、新規契約よりも上の等級の割引を受けられます。

等級引き継ぎには期限や条件があるので、事前に条件を満たしているか確認しましょう。