近年、インドで広がりを見せている「中古車市場」。新車より中古車のほうが売れゆきがよく、昨今は高級中古車の販売も伸びているとか。
Mordor Intelligenceのレポートによるとインドの中古車市場規模は2024年に316億2,000万米ドル、2029年までに638億7,000万米ドルに達すると予測されている。もともとインドの自動車市場は世界最大規模といわれているなかで、この市場がいかに大きいかが伺える。
インドで中古車のシェアが拡大している背景はさまざまだが、たとえば昨今の理由の1つとして、コロナショックをきっかけとする世界的な半導体不足(電子機器の制御システムに使われる部品)により、EVをはじめとする新車の生産が妨げられたことがあげられる。最近では、利便性や信頼性、透明性を備えた中古車売買プラットフォームが登場し、インドにおける中古車の購入率増加を後押ししている。
数あるマーケットプレイスのなかでも注目を浴びるのが、2015年設立のインド企業Cars24のプラットフォームだ。同社はAIエンジンを含む最先端のテクノロジーと広大なディーラーネットワークを活用し、ユーザーに支持される中古車売買サービスを広く提供している。
売り手には公正な評価を、買い手には品質保証と融資を
同社のビジネスモデルは、C2BとB2Cを両立する“二重販売戦略”。Cars24はこの領域でパイオニアともいわれ、売り手には公正な評価を、買い手には品質保証と融資を提供することで、中古車の売買を手厚くサポート。売買に関する一貫した取引を自社サービスで可能にし、各取引に対して数パーセントの手数料を徴収するビジネスモデルだ。「世界中で中古車の売買方法に革命を起こすこと」を使命としたオートテック企業である同社。現在インド全土をはじめ、オーストラリア、タイ、アラブ首長国連邦などでも中古車の販売・購入・融資を支援し、各国の顧客が効率的かつ手軽に中古車取引を実現することを目指している。
“供給”を第一に考えたビジネスモデル
従来の中古車販売プロセスには、複数の仲介業者が介在することが多く、交渉の煩わしさや、車両の真価が不明確といった課題があった。Cars24のプラットフォームでは、売り手は数分で車のオンライン見積もりを受けられる。さらに、自宅または最寄りのCARS24ハブで無料の車検を予約できるため、「車を売ろう」と思ったタイミングでスムーズに準備が可能だ。
特に個人で車を売るときには、さまざまな負担が想像されるが、車のオーナーは最寄りのCars24支店に行くだけで数時間もかからずに車を売却することができる。オーナーが売買価格に同意すれば、数分以内に金額が銀行口座に送金されるスムーズさも魅力だ。
また、登録証明書(RC)やローン審査、保留中の支払いなどといった文書の作成サポートを受けることも可能。悩ましい書類作成や事務処理を任せることができるため、売主は煩わしい手続きを避けられる。“車の書類”に抵抗がある人にとって、心理的な負担が軽減されることは確かであり、初めての中古車販売でも安心して利用できるのが納得できる。
“供給”を第一に考えたこのユニークなモデルこそが、業界で注目を浴びながら大きな成長を遂げたひとつの理由といっても過言ではないだろう。