国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが、昨年11月に主催した気候変動をアートで感じる展覧会「HELP展」。
その折に制作・展示した映像作品「御渡り」が、タイ・バンコクで開催される映画祭「Changing Climate, Changing Lives Film Festival(CCCL映画祭)」のドキュメンタリー部門に正式出品されることが、1月24日(水)に決定した。
諏訪湖の伝統文化・御渡りの今の姿を描いた作品
「御渡り」を出品するCCCL映画祭は、タイで創設され、4回目を迎える今年は2月15日(木)〜2月18日(日)の期間での開催となる。
同映画祭は、短編映画を通じて気候変動の認知を広げることを目的とし、2月18日(日)にバンコクで行われる授賞式には、グリーンピース・スタッフを含む関係者が出席する。
出品作品「御渡り」は、気候変動の影響で存続が危惧されている長野県・諏訪湖の伝統文化“御渡り”の姿を描いた12分間の映像作品だ。
長野県の諏訪湖が全面結氷すると南の岸から北の岸へかけて氷が裂け、高さ30cmから1.8mほどの氷の山脈ができる。
同作品では、御渡りの出現を判定する八劔神社宮司・宮坂清氏の言葉と、1683年から脈々と綴られた記録をもとに、気候変動の影響で出現が減少している現在の御渡りの姿を描く。監督は小野友資氏、撮影は亀村佳宏氏、出演は八劔神社宮司の宮坂清氏、製作はクリエイティブユニット・HAKUAがそれぞれ担当した。
グリーンピース・ジャパンのプロジェクト・マネージャーである高田久代氏は、「ショートフィルムの力を通じて気候変動に対する意識を高めることを目指すCCCLで、私たちの作品が正式上映されることを光栄に思います」と述べる。
そして「作品で紹介している御渡りは、条件が揃えば1月〜2月の厳冬期に出現します。宮坂宮司や地域の方は今季も連日、早朝の湖面観察を続けていらっしゃいますが、まだ薄氷ばかりだとのことです。室町時代から580年以上にもわたって続く氷の観測記録は世界的にも貴重です。映画祭を通して、多くの方にご覧いただき、気候変動の影響を考え行動を始めるきっかけになることを願っています」とその出品意義を語る。
気候変動による環境の変化は、世界中で大きな問題となっている。その意義を問う映像作品「御渡り」に注目したい。
Changing Climate, Changing Lives Film Festival(CCCL映画祭)
開催期間:2月15日(木)〜2月18日(日)
授賞式開催日:2月18日(日)19時 ※現地時間
開催地:タイ・バンコク
(高野晃彰)