ルーカス・ブラガ 写真:Getty Images

 ファビオ・カリーレ監督問題を巡り、V・ファーレン長崎と法廷闘争を繰り広げるブラジル2部降格クラブのサントス。先日には、ブラジル人FWルーカス・ブラガを清水エスパルスへ期限付き移籍により放出したと一方的に公式発表。一部メディアもルーカスの清水移籍を報じる中、ネット上では同選手獲得に対する疑問や不安の声が沸き起こっている。

 現在27歳のルーカスは、左サイドを主戦場とするアタッカー。2019年7月からサントスでプレーしており、カリーレ監督から直接指導を受けた時期もあった。また2021年にはサントスと2026年までの複数年契約を締結。2022シーズンにブラジル1部リーグ38試合中22試合でスタメンに名を連ねると、2023シーズンもリーグ戦22試合で先発出場。今年6月に1か月間ベンチ外と厳しい立場に置かれる時期もあったが、シーズン後半戦は本職の左サイドではなく、右サイドでレギュラーに定着していた。

 昨年1月にブラジルメディア『ランセ』のインタビューで、長崎からオファーが届いたことを明かしたルーカス。複数回にわたりJリーグ移籍の可能性が報じられる中、サントスは今月7日にクラブ公式X(旧ツイッター)アカウントにて「サントスはルーカス・ブラガを清水に1年間、売却額固定でレンタルすることを正式に発表した。 2019年にサントスへ加入したルーカスは、サントスで通算199試合に出場し18ゴールをマークした」と投稿。清水の公式発表を待たずして、ルーカスの同クラブ移籍を発表すると、日本国内でも「清水がルーカスを獲得」と報じられている。

 このルーカス獲得を巡り、Xでは「噂のサントスだけど大丈夫?」「鹿島アントラーズにいたピトゥカや、カリーレ監督のこともあるのに…」といった不安が。「サントスは約束守らない」「サントスと関わるな」などと警鐘を鳴らすファン・サポーターもいる一方で、「この状況でサントスから補強できる清水フロントの決断すごいな」という声も挙がっている。

 ただ清水は今月、FWチアゴ・サンタナを浦和レッズへ完全移籍により放出。ストライカーの獲得が急務であり、かつルーカスがサイドを本職としているだけに、「補強ポイントはウイングではなく、センターフォワードなのでは?」などと、清水強化部への厳しい意見も寄せられている。

 なおカリーレ監督の問題を巡って、サントスは今月12日に長崎と協議した後に「サントスはカリーレ監督と長崎の契約が今年1月1日に終了していたことを把握。長崎との交渉を正式に終了した」と声明を発表。違約金を支払う必要がないと主張している。

 これに対して、長崎は13日に「事実に反するのみならず、昨日の会議でのサントスの立場とも全く異なる主張。昨日の会議に関する回答がない中でこのようなリリースが発信されたことは極めて遺憾。クラブとしてしかるべき措置を取ることを検討してまいります」と反論。

 19日夜には公式サイトを通じて「サントスFCならびにファビオ カリーレ監督、レアンドロコーチ、デニスコーチおよびセザールコーチに関して、国際サッカー連盟(FIFA)に提訴することを決定いたしました」と、ファン・サポーターやスポンサー等に報告。ブラジルメディア『Diario Do Peixe』によると、違約金額は450万ドル(約6億6400万円)にのぼるという。