インド共和国のゼネコン最大手Larsen & Toubro Limited(L&T)社と、株式会社IHIインフラシステムが共同事業として建設したムンバイ湾を横断する海上道路橋が完成しました。
人口増加と自動車による深刻な交通渋滞が課題となるムンバイ市と、港湾の拡張や新空港の建設が予定される経済特区ナビムンバイ市を結ぶ総延長およそ22kmのインド最長の海上道路として建設されました。
この事業は、ムンバイ圏のさらなる経済成長を促進し、交通渋滞を緩和して大気汚染などを軽減することを目指しています。
ムンバイとは?
ユネスコ世界遺産に登録されたムンバイの鉄道駅チャトラパティ・シヴァージー
かつてはボンベイとも呼ばれ、古くから港町として栄えたインドの大都市。中央銀行や国立証券取引所(NSE)、証券取引委員会、各銀行の本店、各国の商工会議所が立地するインド経済、金融・商業の中心地として知られています。
日本企業も多く進出していて、小売り業では無印良品やダイソーなどが、現地のショッピングモールに出店しているといいます。
また、ヒンドゥー語で制作される娯楽映画産業の中心地で、いわゆる「ボリウッド」映画は、この地から生まれます。
JETRO|インドのテストマーケティング地・商都ムンバイ
インフラ整備に技術力で貢献
この海上橋を含む道路建設事業は、円借款(えんしゃっかん)による日本政府の開発援助として行われました。
「橋梁建設工事パッケージ1」と名付けられた、10kmの海上道路橋の建設工事において、IHIインフラシステム社は重防食塗装の鋼床版箱桁(橋の形式のひとつ)の製作・輸送を担当。同社によると、重防食塗装の鋼床版箱桁は、インドではこの橋で初めて採用されたそうです。
同社は、デリー~ムンバイ間貨物専用鉄道の鋼橋建設工事(インド)のほかにも、日越友好橋(ニャッタン橋/ベトナム・ハノイ)やトルコ最大のつり橋、イズミット湾横断橋(オスマン・ガーズィー橋)などの建設事業を行っています。
円借款とは
「政府開発援助(ODA)」のひとつ。通常の民間金融機関の融資よりも低い金利で長期の資金を開発途上国に貸し付ける制度です。
開発途上国の経済成長や貧困削減を目指し、対象となった国が主体となって行う開発を支援しようという取り組みです。
JICA|円借款とは
<参照>
インド最長 ムンバイ湾横断道路の「海上道路橋」が完成