ファビオ・カリーレ監督 写真:Getty Images

 V・ファーレン長崎はファビオ・カリーレ監督を巡る問題で、ブラジル2部降格クラブのサントスや同監督などを相手どり国際サッカー連盟(FIFA)に提訴すると公式発表。違約金額は当初700万レアル(約2億円)とみられていたが、より多くの違約金を得る可能性が浮上。今月23日、サントスの専門サイト『Diario Do Peixe』が伝えている。

 カリーレ監督については、長崎が昨年12月4日に2024シーズンの契約更新を公式発表したにもかかわらず、サントスがおよそ2週間後の19日に同監督の招へいを発表。両クラブ幹部が今月12日に協議したものの、サントスは協議終了直後の日本時間13日未明にクラブ公式X(旧ツイッター)にて「サントスはカリーレ監督と長崎の契約が今年1月1日に終了していたことを把握。長崎との交渉を正式に終了した」と声明を発表。違約金を支払う必要がないと主張している。

 これに対して、長崎は13日に「事実に反するのみならず、昨日の会議でのサントスの立場とも全く異なる主張。昨日の会議に関する回答がない中でこのようなリリースが発信されたことは極めて遺憾。クラブとしてしかるべき措置を取ることを検討してまいります」と反論。

 19日夜には公式サイトを通じて「サントスFCならびにファビオ カリーレ監督、レアンドロコーチ、デニスコーチおよびセザールコーチに関して、国際サッカー連盟(FIFA)に提訴することを決定いたしました」と、ファン・サポーターやスポンサー等に報告していた。

 違約金については、ブラジルメディア『グローボ』が今月中旬に「700万レアルにのぼる見込み」と伝えていた。しかし『Diario Do Peixe』は「カリーレ監督に対する違約金は150万ドル(約2億2200万円)、コーチについては一人当たり100万ドル(約1億4800万円)。総額で450万ドル(約6億6400万円)だ」と伝えている。

 なおブラジルメディア『UOL』は今月13日、スポーツ紛争に詳しいブラジル人弁護士の話として「カリーレ監督が実際に長崎との契約に署名したのであれば、日本のクラブは2月1日からFIFAに出向き、違約金を請求することが可能になる。カリーレ監督が依然として長崎と有効な関係を持っており、サントスが疑わしい態度をとった」と綴るなど、長崎勝訴を予想している。

 クラブ史上初となるブラジル2部降格により、選手の大量入れ替えを余儀なくされているサントス。FIFAでの法廷闘争に敗れた時に、7億円近くとみられる違約金の支払い能力があるか疑問符が付く。