地を這うボディをさらにシャープに

フジミ製1/24スケール・プラモデルのホンダ・プレリュード2.0Siを、エンジン再現なども込みで作り込んでみようという連載の2回目である。今回は、ボディ形状の修正についてお伝えしたい。その具体的な作業内容については、写真とキャプションをご確認いただくとして、ここでは実車のプレリュードについて客観的な解説をしていこう。

現在では壊滅したに等しい、スペシャリティカーというジャンルがかつて存在したが、シルビア、セリカといったライバルと並んで、一時はそのカテゴリーの覇者ともなったのが、ホンダ・プレリュードである。その初代モデルがデビューしたのは1978年のこと。2001年に消滅するまで五代に亘る歴史を重ねたプレリュードだが、特に人気の高かったのは、二、三代目モデルであると言ってまちがいない。

1982年デビューの二代目プレリュードは、FFレイアウトの2ドア・クーペという基本はそのまま継承しつつ、ロー&ワイドのフォルムを基調とし、リトラクタブルライトを採用することで、よりスペシャリティ感を演出していた。フロントサスペンションにはダブウィッシュボーンを採用、これによってフロントノーズの低さを実現していたのも特徴である。この二代目のコンセプトを踏襲し、さらに磨きをかけたのが、1987年4月に登場した三代目だ。

三代目ではノーズの低さをさらに極め、「フェラーリより低い」のが売りとなった。エクステリアは先代の方向性をさらにブラッシュアップしたもので、フロントマスクからはグリルや樹脂製フィニッシャーを排除、スペシャリティ性により一層の磨きをかけている。サスペンションはリアもダブルウィッシュボーンとなったが、一番の売りは4WS――量産車としては世界初の、機械式4WS(4 Wheel Steering)機構を備えていたことだ。これは、前輪ステアリングの切れ角に応じて、後輪の舵角が同方向(前輪の舵角が小さい時)/逆方向(前輪の舵角が大きい時)で切り替わるというものだった。

4WSやエンジン以上のセールスポイントとは…?

エンジンはトップモデルの2.0Siに直列4気筒2L DOHCのB20A型を搭載。最高出力は145ps(ネット値。以下同)であったが、このエンジンは先代から引き継いだものであった。これに次ぐXX以下、XR、XLの各グレードには、直列4気筒2L SOHCのB20A型(110ps)が組み合わされている。ただし、こうした性能面は、当時のプレリュード人気を語るときにはあまり意味はないかもしれない。この時期のスペシャリティカーは、若い男性が主要オーナーである「デートカー」的性格の強いものであった。プレリュードは、運転席側から助手席をワンタッチで倒せる機能が持て囃されたとか……。

キープコンセプトモデルは失敗に終わることが多いが、プレリュードの場合は、折からのバブル景気もあり、先代モデルを超える大ヒットとなった。しかし、それも日産からS13シルビアが登場する(1988年5月)までのことで、モデルライフ後半は苦戦。1989年11月に固定式ライトのinx(インクス)を追加するなどしたのち、1991年9月にモデルチェンジを実施した。新たな四代目はスポーツ性を重視しマッシブなボディに生まれ変わったが、バブル崩壊の影響もあり、販売はいよいよ低迷してしまうのであった。

……さて、工作の方は写真でお分かりの通り、ボディの気になる箇所については改修作業を終えることができた。次からはいよいよエンジン搭載へと進んでいくのだろうか、それについては次回をお楽しみに。

作例制作・写真=Ken-1

文・秦正史/提供元・CARSMEET WEB

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