銀河ぬーべーの存在が「ダークマター」の新たな性質を示しているかもしれない

銀河ぬーべーの存在は、天文学者たちを困惑させています。

銀河ぬーべーは、全体的に拡散しており、中心に質量がほとんどないにも関わらず、銀河として1つにまとまっています

一見したところ、ぬーべーには相互作用も無ければ、奇妙な性質を示す他の兆候も見られないようです。

天文学者たちは、既存の宇宙モデルや様々なシナリオに当てはめたとしても、ぬーべーがどのようにして1つにまとまっているのか説明できません

銀河ぬーべーの存在は、ダークマターに関する新たな理解を与えるかもしれない
銀河ぬーべーの存在は、ダークマターに関する新たな理解を与えるかもしれない / Credit:Canva

例えば、一般的に受け入れられている「コールドダークマター(SOD)モデル」では、ダークマターの粒子が非常に遅い速度で動き、銀河や銀河団などの成長に影響を与えると考えられています。

この理論により、宇宙の大規模な構造を説明することはできますが、ぬーべーのような存在を説明することはできないのです。

研究チームは、ぬーべーの構造を説明する新たな説として、「ダークマターを構成する粒子の質量は極めて小さい可能性がある」と述べています。

もしこれが本当なら、「ダークマターが量子物理学の特性を銀河規模で証明したことになる」のだとか。

もちろん、これは仮説の1つに過ぎませんが、現在研究チームは、理解をより深めるために、ぬーべーのような「暗い銀河」を新たに探しています。

銀河ぬーべーを取り巻く「不思議な」物語は、まだまだ続きそうです。

ニュートンとアインシュタインの重力理論が崩壊している連星を発見!

参考文献

Nube, the almost invisible galaxy which challenges the dark matter model

‘We do not understand how it can exist’: Astronomers baffled by ‘almost invisible’ dwarf galaxy that upends a dark matter theory

元論文

An almost dark galaxy with the mass of the Small Magellanic Cloud

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

海沼 賢: 以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。